「テレワーク用にVPNを入れたいが、ルーターの設定を触るのが怖い」「VPN非対応のルーターしかないが、それでも導入できるのか」——こうした疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
結論から言えば、ルーターの設定変更なしでVPNを導入することは可能です。
ただし「どんなVPN製品でも設定変更なしで使える」わけではありません。製品・方式によってルーター設定が必要かどうかが大きく異なります。
この記事では、以下のポイントをわかりやすく解説します。
- なぜ従来型VPNはルーター設定が必要なのか
- ルーター設定なしでVPNを導入できる仕組み(アウトバウンド接続方式)
- VPN非対応ルーターでも使える理由
- 具体的な導入手順と注意点
1. 従来型VPNがルーター設定を必要とする理由
まず、「なぜ従来型のVPNはルーター設定が必要なのか」を理解しておくことが重要です。
「外から内へ」の接続が必要なため
従来型のリモートアクセスVPNは、「外部(自宅や外出先)から社内に向けてVPN接続要求を送り、社内のVPNゲートウェイ(ルーター)がそれを受け取る」という仕組みで動作します。
この場合、インターネット側から社内ルーターへの通信が必要です。しかし、家庭や企業が使っているNAT(ネットワークアドレス変換)ルーターは、デフォルトでは外部からの接続要求をブロックします。これはセキュリティ上の正しい動作ですが、VPN接続のためにはこのブロックを解除(ポート開放)する必要があります。
ポート開放が必要になる理由
VPNプロトコルはそれぞれ特定のポート番号を使って通信します。
- L2TP/IPsec:UDP 500番(IKE)、UDP 4500番(NAT-T)
- OpenVPN:UDP 1194番(デフォルト)
- PPTP:TCP 1723番
これらのポートへの外部からのアクセスを許可するために、ルーターの設定(ポートフォワーディング)が必要です。さらに、このポート開放先を固定するために、社内ネットワークの固定グローバルIPアドレスが必要になります。
固定IPアドレスが必要な理由
ルーターのポートを開放しても、社内のグローバルIPアドレスが変わってしまうと、リモートワーカーはどこに接続すればよいかわからなくなります。そのため、ISPから固定グローバルIPアドレスを取得し、VPN接続先として「ここに来い」という住所を固定する必要があります。
この固定IPアドレスの契約には月額費用が発生することが多く、小規模企業にとってはコスト増加要因になります。
VPN対応ルーターが必要な理由
VPNゲートウェイ機能を持つルーターでないと、VPN接続を受け入れる処理ができません。家庭用の廉価なルーターや、古いビジネス向けルーターの一部にはVPN機能が搭載されていないため、買い替えが必要になることがあります。
2. ルーター設定なしでVPNを使える仕組み
では、どうすればルーター設定なしでVPNを使えるのでしょうか。
「社内側からVPNを張る」アウトバウンド接続方式
この問題を解決するのが、「社内側からVPNを張る」アウトバウンド接続方式です。
通信の方向を逆にすることがポイントです。
従来型の通信方向(インバウンド型):
外部(リモートワーカー) → インターネット → 社内ルーター
(外から社内への接続要求 → ポート開放が必要)
アウトバウンド接続方式:
社内の専用機器 → インターネット → クラウドVPNサーバー ← 外部(リモートワーカー)
(社内から外への接続 → ポート開放が不要)
ここで重要なのは「NAT(ルーター)の動作原理」です。
ルーターのNAT機能は、LAN内から外部(インターネット)への通信は通常通り許可します。これはWebブラウジングやメール送受信と同様の「外向きの通信」だからです。外向きの通信では、ルーターが接続のセッションを自動で管理し、応答トラフィックも自動で通します。
社内の専用機器がクラウドVPNサーバーへ接続を確立するのは「外向きの通信」であり、ルーターの設定変更は一切不要です。
クラウド基盤が中継点になる
この方式では、クラウド上のVPNサーバーが「中継点」として機能します。
- 社内の専用機器(デバイス)がクラウドVPNサーバーにVPNトンネルを確立
- リモートワーカーのパソコンがクラウドVPNサーバーにVPN接続
- 両者がクラウドを介してつながる
リモートワーカーはクラウドVPNサーバーに接続するので、社内ルーターには直接アクセスしません。社内のネットワーク構成がどうであれ、クラウドVPNサーバーへのアウトバウンド接続さえできれば動作します。
なぜ固定IPも不要なのか
社内の専用機器がクラウドへ接続しに行く仕組みのため、社内のグローバルIPアドレスが変わっても問題ありません。機器は自分からクラウドに接続しに行くため、「接続先の住所」がわかれば良いのです(クラウドVPNサーバーのアドレスはベンダーが管理します)。
社内のIPアドレスが変わっても機器側から接続を張り直すだけなので、固定IPアドレスを取得する必要がありません。
3. VPN非対応ルーターでも使える理由
前述の仕組みを理解すると、VPN非対応のルーターでも使える理由が明確になります。
ルーターに求められるのは「インターネット接続」だけ
アウトバウンド接続方式の場合、社内のルーターは「インターネットに接続できる」という基本機能だけあれば十分です。
具体的には:
- VPN機能がルーターになくても問題ない(VPN処理は専用機器が担う)
- ポート開放の設定が不要(外向き通信のため)
- 固定IPが不要(固定IPは社内側に不要)
- ルーターのファームウェアを更新する必要もない
VPN対応・非対応を問わず、どんなルーターでも「インターネットに接続できる」環境であれば動作します。
社内に置く専用機器がVPN機能を担う
重要なのは、VPN機能を持つ専用デバイス(例:FLINT plusなど)が社内LANに設置されていることです。
このデバイスが:
- VPN暗号化・復号処理を実行する
- クラウドVPNサーバーとのトンネルを維持する
- 社内ネットワークとリモートワーカーの通信を中継する
という処理を担うため、ルーター側には何の機能も追加不要です。
4. ルーター設定変更なしで導入できるVPNの具体例
だれリモVPN(ロリポップ!固定IPアクセス)
ロリポップ!固定IPアクセスが取次販売する「だれリモVPN」は、この記事で解説したアウトバウンド接続方式を採用した代表的な製品です。
特徴:
- 専用機器「FLINT plus」を社内LANに挿すだけで導入完了
- 固定IPアドレスの取得が不要
- 既存ルーターの設定変更が不要
- VPN非対応ルーターでも動作
- AES-256/SHA-384による二重VPNで全通信を暗号化
- ノーログ運用(通信ログを保存しない)
- 初期費用0円・初月0円・契約期間なし
- 最短2日で導入可能
- 現状Windowsに対応(Mac・スマートフォンは順次対応予定)
詳細は https://vpn.lolipop.jp/vpn_remote をご確認ください。
5. 従来型VPNとの方式比較
従来型VPN(インバウンド型)とアウトバウンド接続方式の違いを整理します。
方式比較表
| 比較項目 | 従来型VPN(インバウンド型) | アウトバウンド接続方式(置くだけVPN) |
|---|---|---|
| 接続の起点 | 外部(リモートワーカー側) | 社内の専用機器 |
| ルーターのポート開放 | 必要 | 不要 |
| 固定グローバルIP | 必要(多くの場合) | 不要 |
| VPN対応ルーター | 必要 | 不要 |
| 設定の複雑さ | 高い | 低い(挿すだけ) |
| IT専門知識 | 必要 | ほぼ不要 |
| 社内ネットワークの外部公開 | ポート分は公開 | 公開不要 |
| 導入期間 | 数週間〜数ヶ月 | 最短2日 |
| 固定IP取得コスト | 発生する場合が多い | 不要 |
| ルーター買い替えコスト | 発生する場合あり | 不要 |
セキュリティ面の比較
従来型のインバウンド型VPNでは、VPNゲートウェイ(ルーターやサーバー)のポートがインターネットに開放されます。このポートが攻撃の入口になる可能性があります。過去にはVPN機器の脆弱性を狙ったサイバー攻撃が多数報告されています。
アウトバウンド接続方式では、社内ルーターのポートを外部に開放しないため、この種の攻撃経路が生じにくくなります。ただし、クラウドVPNサーバー自体のセキュリティはベンダーに依存するため、信頼できるベンダーを選択することが重要です。
社外から社内へ、工事不要・ルーター設定不要で安全にアクセス
「だれリモVPN」は専用機器を社内LANに挿すだけのクラウド型リモートアクセスVPNです。機器費用0円・初月無料・契約期間の縛りなしで、IT担当者がいなくても導入できます。
だれリモVPNの詳細・料金を見る6. 導入手順(ステップ解説)
「だれリモVPN」のようなアウトバウンド接続方式のVPNを導入する一般的な手順を説明します。
ステップ1:サービスへの申し込み
公式ウェブサイトからサービスに申し込みます。初月無料などのトライアルが用意されていることが多いため、リスクなく試すことができます。
ステップ2:専用機器(FLINT plus)の受け取り
申し込み後、数日以内に専用デバイスが郵送で届きます。設定済みの状態で届くため、開封後すぐに使える状態になっています。
ステップ3:機器を社内LANに接続する
届いたデバイスを社内ルーターのLANポートまたはハブに接続し、電源を入れます。
この時点でルーター側に特別な設定は一切不要です。
インターネットに接続できる環境であれば、どんなルーターでも構いません。
ステップ4:機器とクラウドの自動接続を確認
電源を入れると、機器は自動的にインターネット経由でクラウドVPN基盤に接続します。管理画面(Webブラウザでアクセス)でデバイスのオンライン状態を確認できます。
ステップ5:リモートアクセスするパソコンへのクライアント設定
テレワークを行う従業員のパソコンに、VPNクライアントソフトをインストールします。管理画面から設定ファイルや招待URLを配布できるため、設定作業は難しくありません。
現状はWindowsに対応しています(Mac・スマートフォンは順次対応予定)。
ステップ6:接続テストと本番運用
従業員が自宅などから接続テストを行います。接続確認後、本番運用を開始します。
7. 注意点とよくある誤解
注意点1:社内のインターネット接続が正常に動作している必要がある
アウトバウンド接続方式であっても、社内の機器がインターネットに接続できる環境は必須です。インターネット回線が不安定な場合は、VPN接続も不安定になります。
注意点2:一部の厳格なファイアウォール環境では制限される場合がある
多くの一般的な企業・家庭のルーター環境では問題なく動作しますが、特定のアウトバウンド通信をブロックするような厳格なセキュリティポリシーが設定された環境では、追加の設定確認が必要な場合があります。導入前にベンダーに確認することをおすすめします。
注意点3:対応OSの確認
製品によって対応するOSが限られます。現在Windows対応でMac・スマートフォンが未対応の製品の場合、Mac利用者が多い職場では注意が必要です。対応予定のロードマップをベンダーに確認しておきましょう。
注意点4:クラウドベンダーへの依存
クラウド基盤を経由するため、ベンダーのサービス品質に依存します。SLA(稼働率保証)やサポート体制を確認しておきましょう。
よくある誤解:「ルーター設定なし」=「どんな環境でも100%動く」ではない
ルーターの設定変更が不要であることと、どんな複雑なネットワーク環境でも必ず動作することは別の話です。一般的なSOHO・中小企業環境では問題なく動作しますが、特殊なネットワーク構成の場合は事前に確認が必要です。
よくある誤解:「設定変更不要」=「安全性が低い」ではない
「簡単に設定できる=セキュリティが低い」という誤解があります。アウトバウンド接続方式の場合、むしろポート開放が不要なため、攻撃の入口を減らせるという観点でセキュリティ上の利点があります。暗号化強度は製品によって異なりますが、AES-256/SHA-384を採用した製品であれば十分な強度があります。
8. 費用の目安:ルーター設定不要のVPNにかかるコスト
従来型VPNとアウトバウンド接続方式では、費用の構造も異なります。
| 費用項目 | 従来型VPN(自社構築) | アウトバウンド接続方式(クラウド型) |
|---|---|---|
| VPN対応ルーター | 購入費が発生する場合あり | 不要(既存ルーターのまま) |
| 固定IPオプション | 月額費用が発生する場合が多い | 不要 |
| 設定作業 | 自社対応または外注費 | 機器を挿すだけ |
| 月額費用 | 回線・固定IP・保守の合計 | サービス利用料のみ |
従来型では「固定IPオプションの月額+VPN対応ルーターの購入費+設定の手間」が積み上がるのに対し、アウトバウンド接続方式ではサービス利用料に一本化されます。だれリモVPNの場合、機器費用0円・月額13,200円(税込・専用機器レンタル代含む)+1ユーザーあたり990円(税込)で、初月無料で試せます(2026年7月時点の公式サイト記載)。
初期投資なしで始められるため、「まず小規模に試して、問題なければ本格導入する」という進め方がしやすいのもこの方式の利点です。
9. よくある質問(FAQ)
Q1. 現在使っているルーターがVPN非対応でも本当に使えますか?
A. アウトバウンド接続方式(社内側からVPNを張る方式)を採用した製品であれば、VPN非対応ルーターでも使えます。理由は、VPN処理を専用機器が担い、その機器がルーターを通じて外向き(アウトバウンド)にクラウドサーバーへ接続するためです。ルーター側にVPN機能は一切不要です。
Q2. ポート開放の設定はどこにも一切不要ですか?
A. だれリモVPNのようなアウトバウンド接続方式では、社内ルーターのポート開放は不要です。外部からの接続要求を受け入れる必要がないためです。ただし、自分でVPNサーバーを社内に構築してリモートからアクセスするような「インバウンド型」の構成を取る場合は、ポート開放が必要になります。
Q3. 固定グローバルIPアドレスを契約せずにVPNを使えますか?
A. アウトバウンド接続方式の製品では使えます。社内機器がクラウドに向けて接続を張るため、社内のIPアドレスが変わっても動作し続けます。従来型のインバウンド型VPNでは固定IPが必要な場合が多いですが、クラウド型では不要です。
Q4. IPv6環境(v6プラスなど)でも使えますか?
A. 製品によって異なりますが、アウトバウンド接続方式の製品はIPv6環境での利用制限が生じにくい傾向があります。IPv6環境でL2TP/IPsecが使えない問題(特定ポートのブロック)は、インバウンド型のVPNに多い問題です。ただし、IPv6環境での動作保証については導入前にベンダーに確認することをおすすめします。
Q5. マンションや賃貸オフィスなど、ルーターの管理権限がない環境でも使えますか?
A. アウトバウンド接続方式であれば、ルーターの設定を変更する権限がなくても利用できる場合があります。インターネットに接続できる環境で、かつアウトバウンド通信がブロックされていなければ動作します。ただし、サービスオフィス(コワーキングスペース等)や特殊なネットワーク環境では、事前に確認することをおすすめします。
10. まとめ
この記事のポイントをまとめます。
従来型VPNがルーター設定を必要とする理由:
- 外部からのVPN接続要求を受け入れるためにポート開放が必要
- ポート開放先を固定するために固定グローバルIPが必要
- VPN処理のためにVPN対応ルーターが必要
ルーター設定なしでVPNを使える理由:
- 社内側からクラウドVPNサーバーへアウトバウンド接続する方式
- 外向き通信はルーターの設定変更なしに通過できる(NATの仕組み)
- VPN機能を専用機器が担うため、ルーターにVPN機能は不要
VPN非対応ルーターでも使える理由:
- ルーターに求められるのは「インターネット接続ができる」ことだけ
- VPN処理は社内に設置する専用機器が行う
こうした仕組みを活用したクラウド型VPN(置くだけVPN)は、IT担当者不在の中小企業やIT設定が苦手な管理者にとって、テレワーク環境を整える現実的な選択肢です。
ルーター設定変更なしでテレワーク環境を構築するなら「だれリモVPN」
ロリポップ!固定IPアクセスが取次販売する「だれリモVPN」は、専用機器「FLINT plus」を社内LANに挿すだけで利用できるクラウド型リモートアクセスVPNです。
- ルーター設定変更なし:既存ルーターのポート開放・設定変更が不要
- VPN非対応ルーターでもOK:どんなルーターでも利用可能
- 固定IP不要:グローバル固定IPアドレスの取得なしに使える
- 社内ネットワークを外部公開しない:社内側からVPNを張る方式
- AES-256/SHA-384の二重VPN暗号化:ノーログ運用
- 初期費用0円・初月0円・契約期間なし:リスクゼロでお試し可能
- 最短2日で導入可能:急なテレワーク対応にも対応
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