「固定IPアドレスの設定方法」を調べている人は、まったく別の2つの作業のどちらかを探しています。ここを取り違えると、手順どおりに設定したのに目的が達成されない、ということが起こります。
| ローカルIPの固定 | グローバルIPの固定 | |
|---|---|---|
| 何を固定するか | 社内・家庭内のネットワーク内での番号(例 192.168.1.10) | インターネットから見える番号(例 203.0.113.10) |
| 作業内容 | 端末やルーターの設定を変えるだけ(無料) | プロバイダのオプション契約か固定IPサービスの契約が必要(有料) |
| できること | 社内のプリンタやNASのアドレスが変わらなくなる | SaaSのIP制限に登録できる/外部から接続できる |
| できないこと | 外部からのアクセスやIP制限には使えない | — |
「SaaSのIP制限に自分のIPを登録したい」「社外から社内のPCにつなぎたい」なら、必要なのは右側のグローバルIPの固定です。 端末の設定画面をいくら触っても実現できません。
一方、「社内のプリンタのアドレスが勝手に変わって困る」なら左側で、こちらは無料で今すぐできます。
以下、それぞれの設定方法を解説します。
ローカルIPを固定する方法(端末・ルーターの設定)
社内LANや家庭内ネットワークの中で、機器に同じ番号を使い続けさせる設定です。プリンタ、NAS、ネットワークカメラ、開発用サーバーなどでよく使われます。
設定に必要な4つの値
どのOSでも、入力する項目は基本的に同じです。
| 項目 | 何を入れるか |
|---|---|
| IPアドレス | 固定したい番号。ルーターのDHCPが自動配布する範囲の外を選ぶ |
| サブネットマスク | ふつう 255.255.255.0 |
| デフォルトゲートウェイ | ルーターのアドレス(例 192.168.1.1) |
| DNSサーバー | ルーターのアドレス、またはプロバイダ指定のDNS |
それぞれの意味はデフォルトゲートウェイとは?IPアドレス・サブネットマスクとの関係を図解で解説しています。
DHCPの配布範囲と重ならないようにする
ルーターは接続してきた機器に自動でIPアドレスを配ります(DHCP)。手動で固定した番号がこの配布範囲に入っていると、あとから接続した別の機器に同じ番号が配られてIPアドレスの衝突が起きます。
ルーターの管理画面でDHCPの割り当て範囲を確認し、その外側の番号を使ってください。
端末別の設定手順
OSごとの具体的な画面操作は、それぞれ個別の記事にまとめています。
- Windows / 全般 —— Wi-Fi接続でIPアドレスを固定設定する方法【パソコン・スマホ対応】
- Mac —— MacでIPアドレスを固定設定する方法(有線・無線LAN)
- iPhone —— iPhoneをWi-Fi接続で固定IPに設定する方法
- Android —— AndroidスマホでWi-Fi接続時にIPアドレスを固定する方法
ルーター側で固定する方法(DHCP予約)
端末ごとに設定して回るより、ルーター側で「このMACアドレスの機器には必ずこの番号を配る」と予約するほうが管理が楽です。バッファロー、NEC、エレコムなど主要メーカーのルーターには、この機能が「DHCP固定割当」「IPアドレス予約」などの名前で用意されています。
192.168.1.1 など)にログインします。この方法なら、端末側は「自動取得」のままで済みます。機器を入れ替えたときもルーターの設定を直すだけです。
グローバルIPを固定する方法(契約が必要)
インターネットから見えるIPアドレスを固定するには、設定ではなく契約が必要です。方法は3つあります。
| 方法 | 内容 | 月額の目安 |
|---|---|---|
| プロバイダの固定IPオプション | 契約中のプロバイダに固定IPを追加する。非対応なら乗り換えが必要 | 1,980〜3,850円程度 |
| 固定IP付きモバイル回線 | 固定IP対応のSIMやモバイルルーターを契約する | 数千円 |
| VPN型の固定IPサービス | 回線はそのまま、アプリで固定IPアドレス経由に切り替える | 490円(税込539円)〜 |
プロバイダごとの対応状況と料金は固定IP対応プロバイダ一覧|光回線で固定IPを使う方法と料金比較、方式ごとの違いはVPN型固定IPサービスとは?仕組み・選び方と料金の目安にまとめています。
VPN型なら「設定」も数分で終わる
VPN型のサービスは、契約後の設定作業も端末側で完結します。ロリポップ!固定IPアクセスの場合、必要なのは次の2ステップだけです。
回線工事もプロバイダ変更も不要で、Windows・Mac・iPhone・Androidのいずれからでも、同じ固定グローバルIPアドレスでインターネットに出られるようになります。
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目的別:どちらを設定すればよいか
| やりたいこと | 必要な設定 |
|---|---|
| 社内のプリンタ・NASのアドレスを変えたくない | ローカルIPの固定(無料) |
| 開発用サーバーに毎回同じアドレスでつなぎたい(社内から) | ローカルIPの固定(無料) |
| SaaSのIP制限に自分のIPを登録したい | グローバルIPの固定(契約が必要) |
| 社外から社内のPCやNASにアクセスしたい | グローバルIPの固定(契約が必要) |
| ポート開放して自宅サーバーを公開したい | グローバルIPの固定(契約が必要) |
| 会社のシステムに自宅からつなげるようにしたい | グローバルIPの固定(契約が必要) |
固定IPアドレスの設定方法に関するよくある質問
端末の設定でIPアドレスを固定すれば、外部から接続できるようになりますか?
なりません。端末の設定画面で固定できるのは社内・家庭内でのみ通用するローカルIPアドレスです。インターネットから見えるグローバルIPアドレスはプロバイダから割り当てられるもので、端末側の設定では変えられません。
固定IPアドレスの設定に費用はかかりますか?
ローカルIPの固定は無料で、端末やルーターの設定だけで完了します。グローバルIPの固定にはプロバイダのオプション契約や固定IPサービスの契約が必要で、月額500〜4,000円程度かかります。
ルーターで固定するのと端末で固定するのはどちらがよいですか?
管理のしやすさではルーター側(DHCP予約)が有利です。設定が1か所にまとまり、端末側は「自動取得」のままで済みます。ルーターに予約機能がない場合や、持ち出す端末に固定したい場合は端末側で設定します。
固定したIPアドレスで通信できなくなりました。原因は何ですか?
DHCPの配布範囲と重なっていてIPアドレスが衝突している、サブネットマスクやデフォルトゲートウェイの入力が誤っている、DNSサーバーが未設定でインターネットに出られない、のいずれかが典型的です。まず端末側を「自動取得」に戻して通信できるかを確認すると切り分けられます。
会社のIP制限に登録するのはどのIPアドレスですか?
インターネットから見えるグローバルIPアドレスです。192.168.x.x のようなローカルIPアドレスを登録しても意味がありません。自分のグローバルIPアドレスはグローバルIPアドレスの確認方法の手順で調べられます。
まとめ
固定IPアドレスの設定は、「社内だけで固定するローカルIP」と「インターネットから見える固定グローバルIP」のどちらが必要かを最初に見極めるところから始まります。
- 社内でアドレスを変えたくないだけなら、端末かルーターの設定で無料で完了します
- IP制限や外部からのアクセスが目的なら、契約が必要です
後者の場合、いま使っている回線を変えずに済ませたいなら、VPN型の固定IPサービスがもっとも手間の少ない選択肢になります。




