会計事務所や税理士・弁護士などの士業事務所では、日々多くの顧客の財務情報や個人データを扱っています。
これら顧客データの保護は最重要課題であり、万が一情報が漏えいすれば信用失墜や法的罰則につながるリスクもあります。
特に昨今はリモートワークの普及やクラウドサービスの利用拡大により、従来オフィス内だけで完結していた業務が社外ネットワークを介するようになりました。
この変化に伴い、中小規模の会計事務所でも新たなセキュリティ対策が求められています。
本記事では、そうした事務所が直面する情報セキュリティリスクと、対策として注目される固定IPアドレスやVPNを活用したアクセス制限(IP制限)のメリット、導入方法について解説します。
さらに、実際のIP制限 導入事例も交え、具体的な効果に触れます。
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会計事務所や士業事務所が抱える情報セキュリティリスク
中小の会計事務所・士業事務所は、大企業ほど厳重なITセキュリティ対策を敷いていない場合も多いですが、扱う情報は非常に機微で価値の高いものです。
主なリスクとして、以下のようなものが挙げられます。
- 顧客情報の漏えいリスク 税務資料や財務データなど、クライアントから預かった重要情報が外部に流出する事件が増えています。 サイバー攻撃によるハッキングやマルウェア感染だけでなく、ヒューマンエラー(PCの紛失や設定ミス)による漏えいも起こり得ます。
- 不正アクセスのリスク オンラインで業務システムやクラウドソフトにアクセスする際、ID・パスワードが盗まれ第三者に悪用されると、内部データに侵入される可能性があります。 特に認証情報だけに頼ったシステムでは、なりすましによる不正アクセスの危険性が高まります。
- オフィス外での情報管理 会計士・税理士は守秘義務があり、紙の書類一つにも厳重な取り扱いが求められます。 オフィス外に顧客資料を持ち出したり、自宅PCにデータを保存したりする場合、盗難・紛失のリスクが伴います。 例えばノートPCの盗難やUSBメモリ紛失による情報漏えい事故は現実に発生しています。
以上のように情報管理リスクは多岐にわたりますが、昨今特に注目すべきはリモートワークやクラウド活用に伴う新たな課題です。
リモートワーク・クラウド活用で浮上するセキュリティ課題
在宅勤務や外出先で仕事をする機会が増えると、従来オフィス内の閉じたネットワークで守られていた情報が、インターネット経由で行き交うようになります。
例えば、自宅のPCからクラウド会計ソフトにログインして決算業務を行ったり、カフェのWi-Fi経由で顧問先の資料を送信したりするケースです。
このようなリモートワーク環境では、以下のセキュリティ課題が浮上します。
- 通信経路の安全性 公共Wi-Fiや家庭のネットワークは企業内LANほど堅牢ではなく、通信内容が盗聴されるリスクがあります。 特に通信が暗号化されていない場合、送受信するデータ(顧客情報等)が傍受される危険性が非常に高まります。 VPN等による通信の暗号化は必須の対策と言えます。
- アクセス管理の難しさ クラウド会計ソフトやオンラインストレージを利用する際、インターネットに繋がる環境であれば基本的にどこからでもログインできてしまいます。 便利な反面、社外からのアクセスをどのように制御するかが課題です。 自社の従業員かを判断する材料がパスワードだけでは不十分であり、悪意のある第三者が盗んだ認証情報で世界中どこからでもアクセスできてしまう可能性があります。
- 社員任せになりがちなセキュリティ テレワーク下では各従業員の自宅環境に依存する部分が多く、物理的な書類管理やPCの利用ルールも含めて「各自のセキュリティ意識」に任されがちです。 その結果、十分な対策がないままテレワーク運用がなされ、知らぬ間にリスクが高まっているケースもあります。
クラウド会計ソフト自体は、多くの場合ベンダー側で堅牢なセキュリティ対策(通信の暗号化やサーバー管理、バックアップなど)が施されています。
しかしエンドユーザー側の利用環境が脆弱であれば、結局は情報漏洩や不正アクセスのリスクをゼロにはできません。
実際、クラウド型であってもログインIDの共有や簡易なパスワード設定など運用面の不備から事故が起きる可能性があります。
以上の課題に対し、「特定の場所・経路からしかアクセスできないようにする」というアプローチが有効です。
これを実現するのが固定IPアドレスの活用によるアクセス制限であり、リモート環境であってもオフィスと同等の安全性を確保する切り札となります。
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固定IPアドレスやVPNを活用したアクセス制限とは
では具体的に、固定IPアドレスやVPNを使ったアクセス制限(IP制限)とはどのような仕組みでしょうか?
ここでは基本概念を平易に説明します。
固定IPアドレスとは、インターネット接続時に割り当てられるグローバルIPアドレスを固定のものにするサービスです。
通常、一般家庭向けのネット回線では接続のたびにIPアドレスが変わる「動的IP」が使われますが、固定IP契約をすれば常に同じ番号(住所のようなもの)でインターネットに出て行くことになります。
例えば事務所のネット回線で固定IPを導入すれば、社内LANからの通信は常に決まったIPアドレスを名乗るわけです。
アクセス制限(IP制限)は、この固定IPアドレスを活用して「許可したIPアドレスからの接続しか受け付けない」ようシステム設定することを指します。
クラウドサービスや自社サーバーの管理画面などにIP制限の機能があれば、信頼できるIP(例:自社オフィスの固定IP)のみを許可し、それ以外の通信をブロックすることが可能です。
こうすることで、仮にログインID・パスワードが漏れてしまっても、許可されていないIPからではログインできないため被害を防ぎやすくなります。
一方、VPN(Virtual Private Network, 仮想専用線)は、インターネット上に暗号化されたトンネルを作り、安全な通信を実現する技術です。
VPN接続を使うと、自宅や出先のPCでも社内ネットワークに接続しているかのような状態になり、内部システムやファイルサーバーにアクセスできます。
またVPN経由の通信には特定のIPアドレスが割り当てられるため、VPNに接続した時だけ固定IPを使えるという使い方も可能です。
要するに、「固定IPアドレス × IP制限」により社外アクセスを限定し、「VPN」により通信の暗号化と安全な経路の確保をする、という組み合わせが強力なセキュリティ対策となります。
社内システムやWebサービスで固定IPからの通信のみを許可すれば、不明なIPからのアクセスは遮断され、不正アクセス防止につながります。
固定IPによるアクセス制限のメリット(顧客データ保護など)
固定IPアドレスやVPNを導入してIP制限を行うことは、多くのメリットをもたらします。
特に顧客データ保護や不正アクセス対策の面で、以下のような効果が期待できます。
- 不正アクセスの防止 前述の通り、システム側で許可したIP以外からのアクセスをシャットアウトできるため、仮にログイン情報が漏えいしても第三者による不正利用を防げます。 認証情報だけに頼る場合と比べ、二段構えの防御となり安全性が大幅に向上します。「ID・パスワード + 接続元IP」という二要素目が加わるイメージです。
- 顧客データの漏えいリスク軽減 会計ソフトや顧客データベースへのアクセス元を制限することで、情報漏洩のリスクを下げられます。 万一内部関係者が悪意を持った場合でも、社外の不審な場所からはデータを引き出せないため、不正持ち出しの抑止にもなります。 結果として、顧客情報を厳格に守り、プライバシーや守秘義務の遵守に役立ちます。
- リモートワークでも安全な業務環境 固定IP+VPNの仕組みを使えば、従業員はどこからでも安全に業務システムにアクセスできます。 自宅や出張先・カフェなどインターネット接続できる場所なら、一旦VPNで会社の固定IPに接続しさえすれば、オフィスにいるのと同じ権限でシステムを利用可能です。 リモートワーク導入時に問題となりがちな「自宅からでは機密データにアクセスさせられない」というジレンマを解消し、柔軟な働き方とセキュリティ両立を実現します。
- 通信の暗号化による安全性向上 VPN経由では通信そのものが暗号化されるため、重要データのやり取りも盗聴されにくくなります。 例えばクラウド会計ソフトへの入力データや顧問先とのファイル送受信も、VPNを通すことでさらに堅牢な通信となります。 これにより社外のネット環境でも顧客データを保護しながら業務を行えます。
以上のように、固定IPアドレスとVPNによるアクセス制限は多層的なセキュリティ強化につながります。
特に中小の事務所でも比較的安価かつ手軽に導入可能である点は大きなメリットです。次章では、その導入方法やポイントを具体的に見てみましょう。
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固定IPアドレス制限の導入方法・ポイント
では、実際に固定IPによるアクセス制限を導入するにはどのような手順・方法があるでしょうか。
大きく分けて以下のステップで検討・準備を進めます。
- 固定IPアドレスを取得する まずは利用するインターネット接続において固定IPを確保します。方法は二通りあります。 (a) 現在使っているプロバイダで固定IPオプションを契約するか、 (b) 別途固定IPサービスを提供する事業者と契約する方法です。 プロバイダ経由の場合は月額数百円〜数千円程度の追加費用で1つの固定IPが付与されます。 サービス事業者を利用する場合、後述するようなVPN型サービスなら設定も簡単でおすすめです。
- アクセス制限を設定する 固定IPを入手したら、保護したいシステム側にそのIPアドレスを許可IPとして登録します。 例えばクラウド会計ソフトであれば管理者設定画面からIP制限の項目に進み、許可するグローバルIPアドレスとして自社オフィスのIPやVPNサービスのIPを入力します。 自社サーバーの場合は、ファイアウォールやサーバー設定で許可IP制限を行います。 この設定により、指定したIP以外からのアクセスは自動的に拒否されるようになります。
- VPN接続環境を整える リモートから接続する従業員がいる場合、各自のPCやデバイスにVPNクライアントソフトをインストールし、固定IPに接続できるよう設定します。 プロバイダ提供の固定IPではなくVPNサービスを使う場合は、そのサービス提供企業から接続用アプリや設定ファイルが提供されるので、それをインストール・設定します。 例えばWireGuardなどのプロトコルを使うサービスでは、スマホアプリやPCソフトで発行された鍵を読み込むだけで接続できます。
- 運用テストと周知 設定後、実際に想定通りブロック・許可が機能するかテストしましょう。許可したIP経由では正常にアクセスでき、その他の回線からはアクセス拒否となることを確認します。 また従業員にも、新しい接続手順(自宅から社内システムに入るには先にVPN接続が必要、など)を周知徹底します。 ガイドラインを作成し、VPNの使い方や注意点(公共Wi-Fi直では業務システムに入れない等)を教育することも大切です。
上記の流れで、比較的短期間で固定IP制限によるセキュリティ強化を図ることができます。
特に専任の情シス担当がいない事務所でも、専門サービスを活用すれば簡単な設定で導入可能です。
次に、こうした固定IPアクセス制限を導入した具体的な導入事例を見てみましょう。
IP制限導入事例:小規模会計事務所でのセキュリティ向上
最後に、固定IPアドレスによるIP制限を導入した中小会計事務所の事例を紹介します。
これは架空の事例ですが、多くの事務所で当てはまるケースとして参考になるでしょう。
<事例:ABC会計事務所の場合> 従業員10名規模のABC会計事務所では、数年前からクラウド会計ソフトを活用し始めました。 ところがある日、所長はクラウド上の顧客データにアクセス制限をかけていないことに不安を覚えます。 社員が自宅やカフェから自由にログインできる反面、万一パスワードが漏れたら第三者からもアクセスされかねない状況だったからです。 また、テレワーク中の通信傍受や不正アクセスのニュースを目にしたこともきっかけでした。
そこでABC事務所は早速セキュリティ対策を検討。 プロバイダの固定IPサービスも検討しましたが、自社でVPNサーバーを構築する手間を省くため、外部の固定IP付与サービス(VPN型)を利用することにしました。 幸い月額数百円程度で利用でき、申し込み当日から使える手軽さが決め手でした。
導入後、まずクラウド会計ソフトの管理画面で許可IPアドレスとして提供された固定IPを登録しました。 これにより、そのIP以外からはソフトにログインできないよう設定完了です。 同時に全従業員のPC・スマートフォンにVPN接続アプリをインストールしてもらい、自宅や外出先から作業する際は必ず最初にVPNを有効化する手順を徹底しました。
結果、ABC事務所では不審なIPからのアクセス試行がゼロになり、所長は顧客データが守られている安心感を得ています。 「外出先でも常にオフィスと同じIPでアクセスできるので、リモートワークの不安が解消した」と社員からも好評です。 また、昨今強化された個人情報保護法への対応としても十分な措置であり、クライアントへの説明責任も果たしやすくなりました。 わずかなコストで大きなセキュリティ向上効果が得られた好例と言えるでしょう。
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上記の事例でも登場したように、固定IPアドレスの付与とVPN接続をセットで提供するサービスを活用すれば、中小規模の事務所でもスムーズにセキュリティ強化が図れます。
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「ロリポップ!固定IPアクセス」を使えば、オフィスでも自宅でもカフェでも、常に同じ固定IPアドレス経由で業務システムにアクセス可能です。
これによりIP制限を施した社内システムやクラウドサービスにどこからでも安全にログインでき、不正なアクセスはブロックされます。
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