現代の企業では、生産性向上や業務効率化のためにITツールの活用が推進されています。
しかしその陰で、企業が把握していないIT利用「シャドーIT」という見えないリスクが進行している場合があります。
シャドーITによって重要情報が漏洩したりセキュリティ事故が起これば、企業にとって深刻な損害となりかねません。
本記事では、シャドーITの定義や背景、BYODとの関係性に触れながら、具体的なリスクとその対策について解説します。
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シャドーITとは何か?
シャドーIT(Shadow IT)とは、企業や組織が許可・把握していないまま従業員や部署が独自に利用しているデバイスやクラウドサービスの総称です。
例えば会社が承認していない個人のスマホや私物PCで業務データのやり取りをしたり、無許可のWebサービス(フリーメールやオンラインストレージなど)を業務に使う行為は、すべてシャドーITに該当します。
これらは従業員に悪意がなく「便利だから」「業務を早く進めるため」といった善意で行われることも多いですが、企業の管理が及ばないIT利用には情報漏えいやウイルス感染など重大なリスクが潜んでいます。
実際、シャドーITは約7割近くの企業で発生しているとの調査もあり、クラウドストレージや私物デバイス、フリーの通信ツールなどを通じて個人情報漏洩や不正アクセス等のセキュリティ事故を引き起こすケースが増えています。
BYODとシャドーITの関係
シャドーITと似た文脈で語られる用語にBYODがあります。BYOD(Bring Your Own Device)とは、「従業員が自分所有のデバイスを業務に持ち込んで使用すること」で、企業がそれを公式に許可する制度を指します。
会社支給のPCではなく普段使い慣れた個人の端末を使えるため、生産性向上やITコスト削減に繋がるメリットがあります。
重要な点は、BYODは企業がデバイス利用を許可し管理しているため、基本的にシャドーITには該当しないことです。
企業側でセキュリティ対策や利用ルールを定め、従業員の私物端末を社内IT資産として把握・管理できていれば、リスクを一定程度コントロールできるからです。
しかし一方で、BYOD運用が不十分だとシャドーIT化する可能性もあります。
例えば「自分のデバイスだから」と許可範囲を超えて勝手なアプリをインストールしたり、社内で把握していない用途に使い始めてしまうと、それは事実上シャドーITとなってしまいます。
特にリモートワーク拡大に伴い個人端末利用の機会が増える中、日本でもBYODを導入する企業が徐々に増えていますが、その際にはシャドーITへ転化させないための厳格な管理とルール策定が不可欠です。
要するに、BYODは「公認された個人IT利用」、シャドーITは「無認可の個人IT利用」と言えます。
企業は従業員の利便性とセキュリティを両立させるため、適切なBYODポリシーを整備しつつ、シャドーITの発生を防ぐ取り組みが求められます。
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シャドーITがもたらすリスク
シャドーITによって企業が直面しうるリスクには、以下のようなものがあります。
- 情報漏えいのリスク 企業が管理しない個人デバイスやクラウドサービス上に機密データが保存されることで、重要情報が外部に漏洩する危険性が高まります。 実際に、業務委託先の社員が顧客データ約590万件を無許可の個人クラウドにコピーし、大規模な情報漏洩事件に発展したケースも報告されています。 社内の監視網から外れた場所で情報流出が進行すると、企業は被害に気付きにくく、被害拡大や社会的信用失墜に繋がります。
- 社内システムへの不正アクセス シャドーIT経由で本来は社内からしかアクセスできない業務システムに外部から侵入されてしまうリスクもあります。 例えば、従業員の私物PCが社内ネットワークに接続されたまま脆弱な状態だと、そのPCを踏み台に外部攻撃者が社内システムに不正アクセスする恐れがあります。 許可されていないクラウドアプリがセキュリティ対策不十分なまま社内データと連携している場合も、攻撃者に狙われる弱点となり得ます。
- マルウェア感染・拡大: 管理外のデバイスやアプリには最新のウイルス対策やパッチ適用がされていないことが多く、そこからマルウェア感染が発生しやすくなります。 許可されていないソフトをインストールした際にマルウェアが紛れ込んだり、個人PCが既にウイルス感染している状態で社内ネットワークに接続されたりすると、社内システム全体へ被害が広がる可能性があります。
- アカウント乗っ取り・認証情報の流出 シャドーITのサービスはしばしば個人利用向けでセキュリティが弱く、パスワードの使い回しや二要素認証未対応といった状況もあります。 その結果、第三者にアカウントを乗っ取られ、社内情報に不正アクセスされる危険も高まります。 企業が把握していないところで認証情報が漏洩すると被害の発見・対応が遅れるため、被害が拡大しやすい点もリスクです。
- コンプライアンス違反・IT統制の崩壊 社内で許可していないIT利用は、情報保護や業務監査の面で重大なコンプライアンス違反につながる可能性があります。 例えば社外への機密データ持ち出し禁止といった規程に反する行為が現場で行われていても、シャドーITだと管理部門は把握できません。 またIT資産管理やログ監査の対象外であるため、組織としてセキュリティ状況を正確に把握できず、内部統制が利かなくなるという問題もあります。
以上のように、シャドーITは企業に「見えないリスク」をもたらします。
数十万~数百万件規模の個人情報漏洩やシステム侵入事故が実際に起きており、事業継続や社会的信用にも重大な影響を及ぼしかねません。
では、企業はどのように対策を講じればよいのでしょうか。
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シャドーITへの実践的な対策
シャドーITを防ぎ、情報漏洩やセキュリティ事故を未然に防ぐには、多角的な対策が必要です。以下に主な対策を挙げます。
- IT資産の可視化と監視の徹底 まずは社内でシャドーITが発生していないか把握する仕組みを作ります。 具体的には、社員のPCにインストールされているソフトウェアを定期的に監査したり、社内ネットワークの通信をモニタリングして無許可のサービス利用がないかチェックします。 全てのシャドーITを見つけ出すことは難しくても、不審なアクセスや未知のアプリ利用を早期発見することで、大きなリスクの芽を摘むことが可能です。 また特に注意すべきは「社内ネットワークに接続できるデバイス」であり、それらからの不正な通信を検知する仕組みを整えるとよいでしょう。
- シャドーITに関する社員教育と明確なルール設定 従業員へのセキュリティ教育はシャドーIT対策の基本です。シャドーITがどういう行為か、その危険性や企業にもたらす損失を全社員に理解させ、IT利用ルールを周知徹底します。 例えば「業務データを個人のメールに転送しない」「許可されたクラウドストレージ以外は使わない」といった具体的ルールを定めて共有しましょう。 説明は一度では不十分なので、研修や社内通知で繰り返し教育し続けることが大切です。 またルール自体も、現実的に守れる内容にすることが重要です。 厳しすぎる規制はかえって現場の反発を招き、抜け道としてシャドーITを誘発しかねません。 業務効率と両立できるバランスの良いルールを策定し、社員が協力して遵守できるよう促しましょう。
- 業務環境の整備(シャドーITの原因を解消) 多くの場合、社員がシャドーITに手を出す背景には「公式に提供されているITツールに使いにくさや不満がある」ことがあります。 社給PCのスペックが低い、社内システムが時代遅れで非効率、といった不満が蓄積すると、社員は生産性を上げるために勝手に便利なツールを探してしまいます。 この根本原因に対処するため、社内のIT環境を改善し公式ツールを充実させることも重要です。 例えばチャットツールの使い勝手が悪いなら最新の公認ツールを導入する、ファイル共有に便利なクラウドストレージを企業契約で用意する、社給デバイスのスペックやソフトをアップグレードする──といった施策です。 社員が「公式ツールだけで十分に仕事ができる」「自分で勝手なIT手段を講じなくても済む」と感じられれば、シャドーITの発生を根本から減らすことが期待できます。 便利さとセキュリティを両立するIT環境づくりが、最大の防止策と言えるでしょう。
- BYODの適切な導入と管理 前述の通り、BYODは使い方によってはシャドーITを減らす有効策になり得ます。 自前の端末を使いたい社員には、条件付きでBYODを許可して公式に活用してもらうことも検討しましょう。 ただし当然ながら、BYOD端末に対してはセキュリティポリシーに則った管理が必要です。具体的にはMDM(Mobile Device Management)やMAM(Mobile Application Management)といったモバイル管理ツールの導入を検討します。 これらにより、BYOD端末でも業務データの暗号化やリモートロック/ワイプ(紛失時の遠隔データ消去)などの対策を適用できます。 また許可する端末やアクセス先を限定し、社内管理下で常に利用状況を監視することも重要です。 適切なルールと管理体制の下でBYODを運用すれば、社員は使い慣れたデバイスで業務効率を維持しつつ、企業側もセキュリティを担保でき、シャドーIT化のリスクを低減できます。
- アクセス管理の強化(IPアドレス制限など) シャドーIT対策として効果的な技術手段の一つが、社内システムへのアクセス制御を厳格化することです。具体的には、システムやサーバーにアクセスできる端末・ネットワークを限定する「IPアドレス制限」を導入します。 あらかじめ許可した特定のIPアドレスからの接続のみを受け付け、それ以外からのアクセスはブロックすることで、不正アクセスや未知の端末からの利用をシャットアウトできます。 社内ネットワーク内の利用に限る設定や、社外からアクセスする場合はVPN経由で所定のIPアドレスを付与する、といった運用が考えられます。 例えばロリポップ!固定IPアクセスのようなサービスを使えば、リモートワーカーでもVPN接続によって常に決まった固定IPアドレスからアクセスできるようになります。 これにより、在宅や外出先からでも社内と同じIPで接続できるため、社内システム側でIP制限をかけやすくなり、安全なリモートアクセス環境を実現できます。
- セキュリティツールの活用(CASB・検知システム等) シャドーIT対策として近年注目されている専門ツールも活用しましょう。例えばCASB(Cloud Access Security Broker)はクラウドサービス利用を可視化・制御するソリューションで、社員が使っているシャドーIT的なクラウドアプリを発見し制御するのに有効です。 また前述のMDMやエンドポイント管理ツールはデバイス側の統制に役立ちます。 加えて、シングルサインオン(SSO)や多要素認証の導入も、社内で許可したITツールを安全に利用させる上で効果的です。 公式ツールへのアクセスを厳格に認証・統合することで、従業員が社外のサービスに頼らずに済み、認証情報漏洩のリスクも減らせます。さらに、不正侵入検知システムやログ監視ツールを導入して異常なアクセスをリアルタイムに検知・対処する仕組みも重要です。 人の注意だけでは防ぎきれない部分はテクノロジーの力も借りて、多層的に備えましょう。
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まとめ
シャドーITは一見善意の行動から生まれても、企業に甚大な損害を与えうる「見えないリスク」です。
便利なITツールを素早く取り入れ業務効率を上げたいという従業員の思い自体は尊重すべきですが、放置すれば情報漏えいやシステム侵害といった取り返しのつかない事態を招く可能性があります。
重要なのは、社員の自主性とセキュリティ確保のバランスをとることです。企業としてシャドーITの実態を把握し、発生原因を取り除きつつ、ルール整備・教育や技術的対策を組み合わせて対処すれば、このリスクを大きく低減できます。
完璧にゼロにすることは難しくとも、継続的に対策を講じアップデートしていくことで、被害を最小限に抑え安全なIT利活用環境を維持していきましょう。
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ロリポップ!固定IPアクセスの紹介
最後に、シャドーIT対策の一環として当社が提供するサービス「ロリポップ!固定IPアクセス」をご紹介します。
ロリポップ!固定IPアクセスは固定IPアドレスを割り当てたVPNサービスで、社外から社内ネットワークやIP制限されたシステムに安全にアクセスしたい場合に役立ちます。
このサービスを利用すると、自宅や出張先・カフェなどどこにいても常に同じ固定IPアドレス経由で接続できるようになります。
社内システム側で接続元IPを限定すれば、許可された固定IP以外からのアクセスをブロックできるため、不正アクセス防止や情報漏えい対策の強化につながります。
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