中小企業の情シス担当者やVPN・固定IPに関心のあるネットワーク初心者、さらにはテレワークやクラウドサービス導入企業の情報収集担当者に向けて、固定IPアドレス枯渇の現状と今後の展望について解説します。
「固定IPアドレスが今後手に入らなくなるのか?」「IPv4アドレスが足りないと言われるのは本当か?」といった疑問に答えつつ、IPv6への移行状況や業務への影響、さらにロリポップ!固定IPアクセスの活用方法まで、初心者にもわかりやすく説明します。
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IPアドレスとは?IPv4とIPv6の基本
IPアドレスとは、インターネット上で機器を識別するための「住所」のようなものです。
現在広く使われているIPv4では32ビットのアドレス空間を使用し、約42億(4.3 * 109)個のユニークなアドレスが利用可能でした。
一方、新しいIPv6では128ビット長のアドレスを採用し、約340澗(340兆の兆の兆、2128)個という天文学的な数のアドレスを利用できます。
形式も異なり、IPv4は「192.0.2.1」のようにドットで区切られた10進数4ブロックで表記されますが、IPv6は「2001:0db8:85a3::8a2e:0370:7334」のようにコロンで区切られた16進数表記になります。
固定IPアドレスとは、ISPなどから割り当てられるIPアドレスを常に同じものに固定したものを指します。
通常のインターネット接続では接続のたびに変わる動的IP(DHCPによる割当)が使われていますが、固定IPであれば機器の再起動や時間経過によってもアドレスが変化しません。
このため、社内システムやクラウドサービスで「特定のIPアドレスからのアクセスのみ許可」といったセキュリティ設定を行う際に、固定IPは必須のインフラと言えます。
例えば自宅から社内システムにリモート接続する場合でも、固定IPであれば事前にそのIPを許可しておくことで、毎回アクセス許可申請をする手間が省けます。
なぜIPv4アドレスが枯渇したのか?(背景と歴史)
IPv4アドレス枯渇問題とは、インターネットの急速な普及によって新規に利用可能なIPv4アドレスが底を突きつつある状況を指します。
事実、2010年代に入り各地域でIPv4アドレスの在庫は次々と枯渇しました。
世界全体の在庫を管理するIANA(Internet Assigned Numbers Authority)は2011年2月に中央在庫を使い切り、続いて同年4月にアジア太平洋地域の在庫(APNIC管轄)が枯渇。
以後、欧州(RIPE NCC)は2012年9月、ラテンアメリカ(LACNIC)は2014年6月、北米(ARIN)でも2015年9月にすべて通常割り振り可能なIPv4アドレスを使い果たしました。
日本もAPNICに属するため、新規の大規模なIPv4割り振りは2011年以降行われていません。
つまり「IPv4アドレスが足りない」という話は誇張ではなく、現在ほぼ全世界で在庫が枯渇状態にあるのは事実なのです。
IPv4のアドレス数は約42億と一見膨大ですが、インターネット利用者の爆発的増加や、PC・スマートフォンに加えIoT機器までネットに繋がる時代となり、必要なアドレス数が想定を遥かに上回りました。
当初はクラスA/B/Cといった大きな単位で割り振っていた歴史的経緯もあり、使われずに眠っていたアドレスも存在しました。
しかし在庫逼迫が明確になった2000年代後半以降、各国のインターネット登録管理団体は未使用アドレスの返却促進やポリシー変更による延命策を講じました。
それでも需要拡大を根本解決するには至らず、IPv6の本格導入こそが唯一の恒久策と位置付けられるようになりました。
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IPv4の固定IPは今も新規で取れるのか?(現状と在庫状況)
「今から固定のグローバルIPv4アドレスを入手することはできるのか?」という疑問は多くの企業が抱えるところです。
結論から言えば、全く取得できないわけではありませんがハードルは上がっています。
地域インターネットレジストリ(RIR)からの新規割り振りは停止していますが、既存のプロバイダ等が保有する在庫から有償オプションとして提供を受けることは可能です。
しかしその在庫にも限りがあるため、固定IPアドレスは希少なプレミア資源となりつつあります。
実際、国内ISPの中にはIPv4の枯渇対策としてCGNAT(キャリアグレードNAT)と呼ばれる技術で1つのグローバルIPを複数ユーザで共有する運用を進めているところもあります。
この方式では従来各契約者に1つ配られていたグローバルIPv4を節約できますが、裏を返せば「自前のIPv4アドレスが欲しければ追加料金で固定IP契約して下さい」という流れにもなり、実際に動的IPユーザが固定IPに切り替えているケースも出ています。
言い換えれば、固定IPv4は今も取得可能だが有料化・限定化が進んでいるのが現状です。
また、新規に大量のIPv4アドレスが必要な場合は、他組織から未使用分を売買(移転)してもらうマーケットも存在します。
近年ではIPv4アドレスの1アドレス当たりの相場価格が上昇傾向にあり、クラウド大手が利用者にIPv4アドレス利用料金を課金し始める動きも出ています(例:AWSが2024年よりパブリックIPv4に追加料金を設定)。
このように新たなIPv4確保にはコスト増や手間が伴うため、安易にIPv4前提の設計で機器やサービスを増やしていくことにはリスクがあるでしょう。
では、既に自社で使っている固定IPv4は将来使えなくなるのかというと、そういうわけではありません。現在利用中のアドレスが突然取り上げられたり、インターネットそのものが使えなくなる心配は不要です。
IPv4枯渇とはあくまで「新規に配る分が足りない」という状況であり、既存のインフラは当面そのまま利用可能です。
ただし、今後新しくサービスを展開したり拠点や端末を増設したりする際に、「IPv4では拡大ができない」局面が増えていく点には注意が必要です。
例えば新拠点用に追加の固定IPを契約しようとして断られる、あるいは長期的に見ると現行契約の継続コストが上がる、といった影響は考えられます。
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IPv6で固定IPはどうなる?移行状況と課題
IPv4枯渇問題の本質的な解決策として期待されているのがIPv6への移行です。
桁違いに広大なアドレス空間を持つIPv6なら、事実上無限に近いアドレスが利用できるため、「アドレスが足りない」という心配は不要になります。
理論上は各家庭や企業に複数の固定IPv6アドレスを割り当てても余裕があるため、将来的には「固定IPが貴重」という概念自体がなくなる可能性があります。
またIPv6では原則としてNAT(アドレス共有)が不要なため、エンドツーエンドでの通信やセキュリティの面でもメリットがあります。
加えて、IPv6は設計上セキュリティ強化やルーティング効率化などIPv4からの改善も盛り込まれています。
しかし、現時点(2025年)で全てをIPv6に置き換えられているわけではありません。
移行にはいくつか課題があり、IPv4とIPv6の併用期間(デュアルスタック)が長期化しています。
理由の一つは、NATによる延命で急場を凌げてしまったことです。多くの企業ネットワークではプライベートIPとNATを組み合わせてIPv4アドレス消費を抑えており、そのおかげで「IPv4アドレス枯渇の危機」は表面化しにくくなっています。
このため「当面は現状のIPv4で困っていないし、無理にIPv6に踏み込む必要はないのでは」と判断する企業も少なくありません。
また、IPv6導入には機器設定や社内システム対応などコスト・時間がかかるうえ、社内に十分な知見がないケースも多いです。
特に中小企業ではネットワーク管理を外部ベンダー任せにしている場合もあり、顧客から要求がなければプロバイダ側もIPv6対応に消極的という現状もあります。
その結果、IPv6の普及率は地域や分野によってばらつきがあります。
例えば携帯キャリアや大手ISPは近年IPv6対応を急速に進め、世界的に見ると2024年末時点で約43%のユーザがIPv6でGoogleにアクセスしているという統計もあります(米国では約49%がIPv6利用)。
日本国内でもNTT系の光回線「フレッツ光」利用者の半数以上がIPv6接続可能というデータ(2018年時点)や、携帯3社が2016年以降順次IPv6をデフォルト化するなど、エンドユーザ側のIPv6環境整備は着実に進んでいます。
一方で、ウェブサイトやクラウドサービスなどコンテンツ提供側のIPv6対応は遅れ気味です。
世界全体で見ても、トップサイトのうちIPv6で到達可能なものは3割未満に留まり、近年大きく伸び悩んでいます。
日本でもデータセンター事業者やSaaS提供企業でIPv6対応率が2割以下という調査結果があり、多くの企業システムが未だIPv4依存のままです。
つまり、IPv6は徐々に普及しているものの、当面はIPv4と併存せざるを得ない状況と言えます。
せっかく膨大なIPv6アドレスがあっても、相手先が対応していなければ通信できないためです。
この移行期においては、「IPv6を使えるところでは使い、その他は引き続きIPv4を使う」というデュアルスタック運用が現実的な落とし所となっています。
今後の業務利用はどうすべきか?(実用的なアドバイス)
では、IPv4アドレス不足時代を迎える中で企業のネットワーク担当者は何をすべきでしょうか。ポイントを整理すると以下のようになります。
- 現状確認と将来計画 まず自社のインフラがIPv4とIPv6にそれぞれどの程度対応しているか把握しましょう。 ルータやファイアウォール、VPN装置など主要ネットワーク機器がIPv6をサポートしているか、OSやソフトウェアがIPv6通信可能かを点検します。 対応が不十分な場合でも、すぐにすべて入れ替える必要はありませんが、次回リプレース時にはIPv6対応製品を選ぶなど計画的な準備を進めましょう。
- IPv6の優先検討 新規システムの構築やクラウドサービス導入時には、可能であればIPv6対応を優先的に検討します。 例えば自社Webサイトをクラウドに構築するなら、IPv6でのアクセスも有効にしておく、社内のメールサーバもIPv6アドレスを併せて運用するといった具合です。 一般企業のWebサービス提供側でのIPv6対応はまだ2割程度と遅れていますが、逆に言えば対応しておくことで将来的な優位性や、アドレス不足による接続制限の回避につながります。 特に外部向けサービスに関しては、今後IPv6のみのクライアント(IPv4アドレスを持たないユーザ)も増える可能性があるため、早めにIPv6対応することがビジネスチャンスを逃さない鍵となるでしょう。
- IPv4アドレスの節約 一方で、既存のIPv4資源は大切に使う工夫も必要です。 社内ネットワークではこれまで以上にプライベートIP+NATの活用を進め、限られたグローバルIPv4を節約しましょう。 複数拠点でそれぞれ別々にインターネット接続している場合は、拠点間VPNで集約して出口を一本化すれば、必要なグローバルIP数を削減できます。 また使っていない古いサーバのIPを返却する、契約状況を見直して余分な固定IP契約を解除するなど、無駄なIPアドレスを抱えない運用を心がけます。
- 固定IPが必要な場面への対応 リモートワークやクラウド利用が進む中、アクセス元を固定IPに限定したいニーズは依然として高いです。 しかし前述の通り、今後は「固定IPv4の新規入手」が難しくなる場面も考えられます。 その対策として、VPN型の固定IPサービスを活用する方法があります。 例えばロリポップ!固定IPアクセスのようなサービスを使えば、ISPや回線に依存せずにどこからでも同じ固定IPアドレスでアクセスすることが可能です。 詳しくは次の章で紹介しますが、こうしたサービスをうまく取り入れることでIPv4不足時代でも安定したネットワーク運用を実現できます。
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ロリポップ!固定IPアクセスの活用方法
「ロリポップ!固定IPアクセス」は、レンタルサーバ大手のGMOペパボ株式会社が2025年3月に提供開始した固定IPアドレス付与型のVPNサービスです。
WireGuardという最新のVPNプロトコルを採用し、専用アプリに設定ファイルを読み込むだけで簡単に利用できます。
月額539円(税込)という業界最安級の価格で1ライセンスにつき1つの固定IPv4アドレスが即日発行され、最大2ヶ月の無料お試しも可能です。
個人・法人問わず契約できるため、在宅勤務の従業員から中小企業まで幅広く利用できます。
このサービスを活用することで、「固定IPの枯渇」を意識せずに安全なリモートアクセス環境を構築できます。
例えば自社オフィスのファイアウォールで「許可IPアドレス」をこの固定IPに制限しておけば、従業員は自宅や出先からVPN接続するだけで社内システムにアクセス可能となり、第三者からの不正アクセスをブロックできます。
またWeb制作や開発業務でクライアント先のテストサーバにアクセスする際、従来は接続元IPが変わるたびに許可申請が必要でしたが、ロリポップ!固定IPアクセス導入後は常に同じIPからアクセスできるため申請の手間が激減します。
このように、「IPv4アドレスの確保が難しい今こそ、VPN型の固定IPサービスを活用する」ことで、セキュリティと利便性を両立したネットワーク運用が実現できるのです。
社内ネットワークの保護やクラウドサービス利用時のIP制限にお悩みなら、一度検討してみる価値があるでしょう。
FAQ:固定IP枯渇問題やIPv6移行に関する疑問
Q1. 固定IPアドレスは将来本当に手に入らなくなるの? A. IPv4の在庫枯渇は事実ですが、既存の固定IPサービスが突然なくなるわけではありません。 ISPが保有する在庫やアドレス移転マーケットからの調達で、今後しばらくは緩やかにニーズに対応していくと考えられます。 ただし新規取得は今まで以上に困難で高コストになる傾向です。 将来まったく入手不可能になるというより、「欲しいときに気軽に手に入らない」資源になるとイメージしてください。 特に大規模なアドレスが必要な場合は、設計段階からIPv6利用を織り交ぜるなど工夫が必要でしょう。
Q2. IPv6に移行すればアドレス不足の問題は解決するの? A. 原理的にはYESですが、実際には当面IPv4と共存することになります。 IPv6なら桁違いのアドレス数で枯渇問題自体が起きません。 しかし現状、全インターネット利用者のうちIPv6を使っているのは約半数程度に過ぎず、多くのサービスがIPv4に依存しています。 したがっていきなりIPv6一本にするのは非現実的です。 ベストプラクティスは「可能なところからIPv6対応しつつ、IPv4も当面併用する」ことです。IPv6対応を進めれば将来的なアドレス不足リスクは解消しますが、移行には時間と労力がかかるため段階的に進めましょう。
Q3. IPv4アドレスが枯渇すると現在使っているサービスに影響ある? A. 現在利用中のIPv4アドレスや接続が急に使えなくなることはありません。 枯渇とはあくまで「新規に割り振る在庫が無い」という意味で、今使っているインターネットが突然止まることはないと公式にも案内されています。 ただし、将来的にISPがユーザをCGNAT共有IPに切り替えたり、追加の固定IP申込を制限したりする可能性はあります。 その場合はサービス仕様の変更に応じて機器設定を調整するなどの対応が必要です。 重要なのは、動的IP利用が標準となる環境でも業務に支障が出ないよう準備しておくことです。
Q4. 固定IPがどうしても必要な場合の代替策は? A. 二つの方向性があります。一つはIPv6アドレスを活用すること。 もし相手側(アクセス先)がIPv6に対応しているなら、IPv6で接続すれば膨大なアドレス空間から実質固定のアドレスが得られます(多くのISPはユーザごとに固定的なIPv6プレフィックスを割り当てています)。 もう一つは、先述したVPN型固定IPサービスを利用する方法です。 こちらは相手側がIPv4しか対応していなくても有効で、どこからでも共通の固定IPv4でアクセス可能になるため非常に実用的です。 自社の状況に応じて、これら代替策の導入を検討してください。
Q5. 自社ネットワークは具体的に今何をすればいい?(まとめ) A. 現状維持と将来への備えをバランス良く進めましょう。 すなわち、(1)現在のIPv4環境を安定運用しつつ、(2)将来に向けIPv6対応の下準備を始め、(3)不足部分はサービスで補うというアプローチです。 【現在】 は無理にIPv6に切り替える必要はありませんが、数年先を見据えて設備や契約をアップデートしていく計画を立てます。 【将来】 に備えては、まずできるところからIPv6を有効化したり、情報収集や社内でテストを行ったりしましょう。 合わせて、固定IP制限がネックになっている業務があればVPN型固定IPサービスのような新しいソリューションの活用も検討します。 これらを着実に進めておけば、IPv4枯渇時代でも大きな混乱なくビジネスを継続できるはずです。
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まとめ
IPv4アドレスの枯渇はもはや将来の懸念ではなく現在進行形の課題です。 しかし適切に対応すれば、決して「もうネットが使えなくなる」ような深刻な事態ではありません。
IPv6への段階的な移行とIPv4資源の有効活用、そして新しいサービスの活用によって、これからのネットワークインフラも十分にカバーできます。
特に固定IPアドレスが必要な場面では、「ロリポップ!固定IPアクセス」のような手軽なVPNサービスを使うことで、安全かつ安定した接続環境を低コストで確保できます。
IPアドレス不足に不安を感じているなら、ぜひ一度公式ページをチェックしてみてください。