現代のネットワーク運用では、システムの安定性や可用性を高めるために「固定IPアドレス」を活用するケースが増えています。
本記事では、複数の固定IPアドレスで負荷分散は可能かという疑問に答えつつ、IPアドレスを用いた負荷分散や冗長化の手法、さらに固定IPサービスの活用による安定運用のポイントを解説します。
固定IPの技術的な観点からの検討や具体例、回線ごとのトラフィック分散策、IP管理のベストプラクティスなどを網羅し、最後に当社サービス「ロリポップ!固定IPアクセス」の紹介も交えながら、システム安定化に役立つIP活用術を紹介します。
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複数の固定IPアドレスで負荷分散は可能か?
結論から言えば、複数の固定IPアドレスを用いて負荷分散や冗長化を実現することは可能です。
ただし、固定IPアドレスが複数あれば自動的に負荷が分散されるわけではありません。 負荷分散を行うには、複数IPを活用した適切な構成や仕組みが必要です。
例えば、2つ以上のサーバーや回線にそれぞれ固定IPを割り当て、それらの間でアクセスを振り分けることで一箇所に集中する負担を軽減できます。
また、固定IPを複数持つことでシステム全体の冗長化も容易になり、可用性向上に繋がります。
要は、複数の固定IPを「どのように使うか」がポイントであり、次のセクションから具体策を見ていきましょう。
IPアドレス単位でアクセスを分散する方法と事例
IPアドレス単位でアクセスを分散する代表的な方法として、「DNSラウンドロビン」が挙げられます。
これは一つのドメイン名に対して複数のAレコード(複数のIPアドレス)を登録し、クライアントからの問い合わせ毎に異なるIPを返す手法です。
例えば2台のサーバーに固定IPを割り当て、ドメインにその両方のIPを設定しておけば、ユーザーのアクセスは自動的に交互のサーバーへ振り分けられます(シンプルな負荷分散)。
さらに、DNSサービスの機能によっては重み付け(ウェイト)を設定してリクエストの振り分け比率を調整したり、各IPのヘルスチェック(死活監視)を行って片方のサーバーがダウンした際にもう一方に自動切り替えすることも可能です。
このようなDNSラウンドロビン方式は専門のハードウェアを用意せずに導入できるため手軽で、実際にAWSのRoute 53などで固定IPによる分散アクセスを実現した事例もあります。
一方で、DNSベースの分散は各ユーザーの接続先が名前解決のタイミングに依存するため、厳密なリアルタイム負荷均等とはいかないケースもあります。
他にも、ロードバランサー機器を用いる方法もありますが、その場合はロードバランサー側が仮想IPアドレスで一括して受け付け、内部で複数サーバーに振り分ける仕組みとなります(こちらは後述の冗長化手法にも関連します)。
いずれにせよ、複数の固定IPを活用することで一つのサーバーやIPに集中するアクセスを分散でき、結果としてサービス停止のリスクを下げることが可能です。
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複数固定IPと複数回線によるトラフィック分散・障害対策
固定IPを活用した負荷分散は、複数のインターネット回線を併用することでさらに強力になります。
例えば、会社やデータセンターで2本の回線(異なるISP)を引き、それぞれに固定IPを割り当てておけば、回線ごとにトラフィックを振り分けることが可能です。
専用のルーターやファイアウォール製品にはマルチWAN(デュアルWAN)構成でロードバランシングを行う機能があり、セッション単位やルールベースで通信を複数回線に振り分けることで、一方の回線に掛かる負荷を軽減できます。
また、平常時は両回線を活かして帯域を底上げし、障害発生時には自動で片方に切り替える(フェイルオーバーする)構成も可能です。
ただし、複数回線を用いた冗長化ではIPアドレスの変更という問題に注意が必要です。 一般に各回線は別々の固定IP(グローバルIP)を持つため、メイン回線からバックアップ回線に切り替えるとアクセス元のIPアドレスが変わってしまいます。
例えば社内システムで特定の固定IPからのアクセスのみ許可している場合、回線スイッチ時にその許可リストを書き換える必要が生じ、切り替え作業に手間取ると一時的に接続不能になる恐れがあります。
この課題への対策としては、IPアドレス自体を共通化する方法があります。 高度な例では自組織で独自にAS番号とIPアドレスブロックを取得しBGPという経路制御プロトコルでマルチホーミングする手法もありますが、中小規模ではハードルが高めです。 そこで有効なのが固定IPアドレス付きのVPNサービスの活用です。
例えば当社のロリポップ!固定IPアクセスを利用すれば、インターネット回線に依存せず常に同じ固定IPアドレスから通信が可能になります。
自宅・オフィス・モバイル回線など、どの回線を経由しても共通の固定IPで外部にアクセスできるため、もしメイン回線に障害が発生して別回線に切り替えても、社内システム側では常に同一のIPからのアクセスとして認識されます。
結果として、ISPや回線に依存しないネットワーク冗長化が実現でき、障害時でもサービスを止めずに継続可能です。
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システム冗長化におけるIP管理のベストプラクティス
システムを安定運用するためには、IPアドレスの管理方法にもベストプラクティスがあります。
まず重要なのは、重要システムには固定IPを割り当てることです。 DHCPで動的に変化するIPでは予期せぬ変更が発生しうるため、外部からのアクセスやシステム間通信に支障をきたす恐れがあります。
固定IPであれば変更が起こらず、DNS登録や証明書設定なども安定して運用できます。
さらに、固定IPを用いることでアクセス制御を強化できる点も見逃せません。
例えばクラウドサービスやVPNの入り口を特定のIPアドレスからのみ許可するホワイトリストを構築すれば、BYODやシャドーITによる想定外のアクセスリスクを低減できます。
このようにIP制限を活用することで、不特定多数からの不正接続をブロックしセキュリティ向上にも寄与します。
次に、仮想IPアドレス(VIP)やクラスタIPの活用もベストプラクティスです。 ロードバランサーや冗長化構成のサーバーでは、一つの仮想IPを共有し、片方が故障しても自動でもう片方がそのIPを引き継ぐ仕組み(VRRPなど)があります。
仮想IPを使うことで、障害時でもIPアドレス自体は変わらないため、クライアントや他システム側の設定変更をすることなく通信を継続できます。
例えばファイアウォールのデフォルトゲートウェイを二重化する場合でも、仮想IPを割り当てておけば片方のルーター障害時に自動でバックアップに切り替わり、ネットワークダウンを防げます。
また、複数の固定IPアドレスを契約・管理する場合のポイントとしては、それぞれのIPの役割を明確化し整理しておくことが挙げられます。 例えば「IP_Aは本番サービス用、IP_Bは管理用、IP_Cはバックアップ用」といった形で用途ごとにIPを分けておくと、トラブル時の切り分けが容易になります。
万一一つのIPがDDoS攻撃などで狙われた場合でも、管理用IPが別であれば運用者はバックドアから対処が可能です。
実際、固定IPはその静的性ゆえに攻撃標的になりやすい面も指摘されています。
対策としては、ファイアウォールやIDSによる不正アクセス検知、DDoS緩和サービスの利用などセキュリティオプションを適用し、固定IPであっても容易に破られない多層防御を施すことが重要です。
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専用固定IPと共有IPの使い分け
固定IPには「専用固定IP」と「共有IP」という観点もあります。 専用固定IPとは、そのIPアドレスを単一の契約者(ユーザーや企業)が占有して利用できるものです。
一方、共有IPとは一つのIPアドレスを複数の利用者で共用するケースを指します。 共有IPは例えば一般的なプロバイダ接続でルーター配下の複数端末が同じグローバルIPに見える場合や、一部のVPNサービスで他の利用者と出口IPを共有する場合などが該当します。
システム安定運用の観点では、重要な通信には専用固定IPの利用が望ましいです。 理由の一つは、専用IPであればそのIPが持つ信用や評判が自社利用のみに紐づくためです。
共有IPだと他の利用者の挙動(例えばスパム送信や不正アクセス)が原因でIP全体がブラックリストに載ってしまい、自社の正当な通信までブロックされる恐れがあります。
また、社内システムのIP制限をする際に共有IPでは「他社ユーザーのアクセスも許可してしまう」形になりセキュリティ上問題です。
専用固定IPであればこうした心配は無用で、そのIPからのアクセス=自社からのアクセスとみなして信頼できます。
当社の「ロリポップ!固定IPアクセス」では、この点も考慮し固定IPアドレスは契約者専用に割り当てられます。
共有ではなく専用のグローバルIPを得られるため、他ユーザーに影響されずクリーンなIPレピュテーションを保てます。
さらにユニークな特徴として、1つの固定IPを複数人で同時利用できる点があります。
- これは社内のチームメンバー全員が同じ固定IP経由でアクセスするよう設定できることを意味し、外部から見ればアクセス元が常に一つのIPに統一され管理が容易になります。 複数拠点に分かれた開発チームや、リモートワーカーが多数いる場合でも、全員が共通の固定IPを使えるので「誰がどこからアクセスしているか」をIPベースで一元管理できるのです。
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ロリポップ!固定IPアクセスで実現する安定運用
「ロリポップ!固定IPアクセス」は当社GMOペパボが提供する固定IP付きVPNサービスです。 前述のような複数IPの活用による負荷分散や冗長化を、専門知識がなくても手軽に実現できるのが特長です。
例えば、新たに固定IPアドレスを増やしたい場合もライセンス追加で柔軟に対応可能で、必要な数だけ契約して不要になれば削減する、といったスモールスタートにも向いています。
料金は月額539円(税込)から利用でき(国内最安値クラス)最大2ヶ月の無料お試し期間もあります。 申し込み後は即日から利用開始でき、専用アプリと設定ファイルによる簡単セットアップですぐに固定IPを活用した接続環境が構築可能です。
ロリポップ!固定IPアクセスを使えば、一つの固定IPをチーム全員で共有利用できるため、複数拠点・多数ユーザーのアクセス元を統一しやすくなります。
また、社内システムのアクセス制限にこのIPを登録しておけば、誰がどのネットワークから接続しても常に許可されたIPとして扱われ、セキュアかつ安定したリモートアクセスが可能になります。
さらに自社回線の障害時には別回線から同じ固定IPでリカバリ接続できるため、前述した回線冗長化の課題もスムーズに解決します。 結果として、システムの可用性向上と運用管理の簡素化を同時に実現できるでしょう。
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まとめ
複数の固定IPアドレスを活用した負荷分散や冗長化は、システムの安定稼働に大きく貢献します。
DNSラウンドロビンによる分散、複数回線による帯域拡張とフェイルオーバー、仮想IPによる無停止切替など、IPアドレスをうまく利用すれば高価な設備がなくても一定の可用性向上が図れます。
加えて、固定IPならではのセキュリティ強化策(IP制限によるアクセスコントロール)も組み合わせることで、強靭かつ安心なネットワークを構築できます。
自社サービスであるロリポップ!固定IPアクセスは、こうした取り組みをサポートする心強い選択肢です。
固定IPアドレスの導入ハードルを下げ、複数IPの管理や複数ユーザーでの利用を容易にします。
ぜひこの機会に、当サービスの詳細ページをご覧いただき、社内ネットワークの安定化とセキュリティ向上にお役立てください。
複数の固定IPを賢く活用して、システムの安定運用と将来のスケールアップに備えていきましょう。