オフィス移転時によくある固定IPの誤解と不安
オフィスの引っ越しが決まると、「固定IPアドレスは移転後もそのまま使えるのだろうか?」と不安になる情シス担当者の方も多いでしょう。
固定IPという名前から「一度割り当てたIPアドレスは永久に変わらない」と思い込んでしまうことがあります。
しかし実際には、固定IPアドレスであってもオフィス移転に伴い変更が必要になる場合があります。
ISP(プロバイダ)各社のFAQにも「引っ越ししたら固定IPは変わりますか?」という質問が掲載されているほど、これは一般的な疑問です。
つまり固定IPといえども、「契約状況や移転先によっては変わる可能性がある」というのが答えなのです。
よくある誤解として、「固定IPを契約しているから引っ越し先でも同じIPがそのまま使えるはずだ」というものがあります。
しかし固定IPアドレスは特定のネットワーク上で固定されているだけであり、契約回線や提供エリアが変われば別のネットワークから新しいIPが割り当てられるのが通常です。
例えば、現在利用中の固定IPが東京エリアのネットワークで割り当てられている場合、関西など異なるエリアのネットワークに引っ越せば同じIPアドレスを維持することはできません。
この点を理解していないと、「移転後にネットワーク機器を繋げば以前と同じIPでそのまま繋がるだろう」と誤って期待してしまい、実際には接続できず慌てる…というトラブルにつながりかねません。
また、「IPアドレスが変わってしまったら、自社サービスやシステムに支障が出るのでは?」という不安もあるでしょう。
たとえばクラウドサービスや取引先システムで、オフィスのグローバルIPアドレスをアクセス制限に登録しているケースがあります。
この場合、固定IPが移転で変わってしまうと新オフィスからアクセスできなくなるため、速やかに新しいIPアドレスを登録し直す対応が必要です。
IPアドレス変更への対応漏れがあると、移転後に「特定のクラウドに繋がらない」「リモート接続できない」といったトラブルが発生しかねません。
以上のように、オフィス移転に際して固定IPアドレスにまつわる誤解や不安は少なくありません。
本記事ではそれらを解消し、「固定IPは引っ越し時にどう扱えばいいか」について、具体的な判断ポイントや対処法を解説します。
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固定IPは引っ越し後も引き継げる?プロバイダ・回線ごとの判断ポイント
固定IPアドレスが移転後も継続利用できるかどうかは、現在の契約回線と移転先の条件によって決まります。
主な判断ポイントは次のとおりです。
- 移転先も同じ提供エリアか 一般的に、NTT東日本エリア内・NTT西日本エリア内など同一の地域ネットワーク内で移転する場合は、固定IPをそのまま使えるケースが多いです。 逆に、提供エリアをまたぐ移転では、固定IPを引き継ぐことはできず新しいIPが割り当てられます。
- 回線種別の変更があるか 引っ越しに伴い回線の種類やプランが変わる場合も、固定IPは継続できない場合があります。 ファミリータイプからマンションタイプへの変更などは、一度解約して新規契約し直す必要が生じ、結果としてIPアドレスも変更になります。
- 同じプロバイダで提供可能か 利用中のプロバイダや光コラボレーション回線が引っ越し先でもサービス提供エリア内であれば、同じ契約を移転扱いで継続できる可能性があります。 ただし回線タイプが変更になると継続利用できない場合があるため、事前に問い合わせて確認することが重要です。
- 別のプロバイダ・回線に乗り換える場合 オフィス移転を機にプロバイダを乗り換える場合は、基本的には固定IPアドレスの引き継ぎはできません。 改めて新しい固定IP契約を結び、新規のIPアドレスを取得する形になります。
- 特殊なケース(モバイル回線等) モバイル回線の固定IPサービスを利用している場合などは、場所に関係なく同じIPを利用できるケースもあります。
上記のように条件を整理すると、「同じエリア・同じ契約内容であれば固定IPもそのまま」「エリア外や契約変更が伴うなら固定IPは引き継げない」と考えるのが基本です。
とはいえ細かな条件はプロバイダごとに異なるため、移転が決まったら早めに現在のプロバイダへ問い合わせて確認しましょう。
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固定IPを引き継げない場合の再契約と手続き
万一、プロバイダから「移転先では現在の固定IPアドレスは利用できません」と回答された場合でも、落ち着いて対処すれば問題ありません。
移転先で引き続き固定IPを利用するために、新しい固定IPアドレスの契約や各種変更手続きが必要になります。
以下に、主な対応手順と事前準備のチェックリストを示します。
- 新規固定IP契約の手配 移転先で利用可能なプロバイダまたは回線で、固定IPオプションを契約します。 新しい契約先が決まったら、早めに申し込みを行いましょう。
- 旧回線の解約手続き 新しい固定IPの契約開始日に合わせて旧契約を終了できるよう、日程を逆算して手続きを進めます。 可能であれば旧オフィスの回線と新オフィスの回線を一定期間並行稼働させることで、切替作業に余裕が持てます。
- 新IPアドレス情報の取得 新たに契約した固定IPアドレスの情報を確認します。 事前に新IPがわかれば、クラウドサービスの設定変更を前倒しで行えるため、移転後の業務再開がスムーズになります。
- 事前確認チェックリストの作成 ルーターやFWの設定変更が必要か確認します。 アクセス許可リスト(ホワイトリスト)に登録している外部サービスをリストアップし、更新計画を立てます。 拠点間VPNを構築している場合は、対向拠点のVPN設定変更の手順や担当者連絡先を確認しておきます。 自社サーバーやメールのDNSレコード変更が必要な場合は、TTL値の調整なども検討します。
以上の手順を踏むことで、固定IPアドレスが引き継げない場合でも、移転による影響を最小限に抑えることができます。
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移転後のネットワーク設定変更:ルーター再設定・クラウド許可IP更新など
オフィス移転後、新しい場所で無事にインターネット回線が開通したら、各種設定変更を速やかに行います。
- ルーターの再設定 新しい固定IPアドレスに合わせて、オフィスのルーターやファイアウォール機器の設定を更新します。 NATやポート転送の設定で外部IPアドレスを参照している部分があれば、新IPに置き換えます。
- クラウドサービスの許可IPアドレス更新 アクセス元IPアドレスの許可リストを新しい固定IPに更新します。 可能であれば移転前に新旧IPアドレスを一時的に併用する期間を設け、切り替えミスによる業務停止を防ぎます。
- VPN・社内システムの再接続 拠点間VPNを張っている場合、新しい固定IPアドレスに合わせてVPN設定を変更し、疎通を確認します。 リモートデスクトップやファイルサーバーなども、IPアドレスベースで接続設定している場合は新IPで再設定が必要です。
- DNSレコードの変更反映 ドメインを固定IPに関連付けていた場合、DNSレコードを新しいIPに書き換えます。 変更反映後は、外部から新IP宛にサービスが問題なく到達するかテストしましょう。
- 各種動作確認 設定変更が一通り完了したら、オフィス内のPCからインターネットや主要な業務システムへの接続テストを実施します。
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引っ越しに左右されない解決策:VPN型固定IPサービスの活用
固定IPは便利な反面、物理回線や提供エリアに紐づいているため引っ越しの影響を受けやすい性質があります。
そこで、「引っ越ししてもIPアドレスが変わらない」便利な解決策としてVPN型の固定IPサービスが注目されています。
例えば「ロリポップ!固定IPアクセス」は、プロバイダーや回線に依存せず固定IPアドレスを利用できるVPNサービスです。
専用のVPNサーバーに接続することで、オフィスの物理回線を変更しても、ユーザーに割り当てられる固定IPアドレス自体は変わりません。
- 引っ越しや回線変更の影響を受けない VPN型なら固定IPが物理拠点から独立しているため、移転時にIPアドレス変更の心配がありません。 オフィスだけでなく、テレワーク中の自宅PCからでも同じ固定IPを共有できます。
- セキュリティ向上 VPN経由で通信するため、暗号化された安全な経路が確保されます。 セキュリティポリシーの適用やアクセス制御も行いやすくなります。
- 手軽さとコスト 月額数百円と低コストで利用可能なプランもあり、専用アプリや既存のルーター設定で当日中に導入できる手軽さも魅力です。
- 複数拠点・デバイスで共有可能 1契約の固定IPを社内の複数デバイスで共有したり、用途別に複数IPを使い分けたりと柔軟な契約が可能です。
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まとめ:移転はネットワーク再設計とIT環境見直しのチャンス
オフィス移転における固定IPアドレスの取り扱いについて解説してきましたが、最後に押さえておきたいのは「移転はネットワーク環境を見直す絶好のタイミング」であるという点です。
改善策を検討しやすい節目ですので、以下のポイントをチェックすると良いでしょう。
- 契約プランの見直し 現在のインターネット回線や電話回線にムダがないか精査し、コスト削減を検討します。
- ネットワーク構成・機器の再評価 レイアウトに合わせてLAN構成を最適化し、老朽化した機器はリプレースを検討します。
- クラウド活用やVPN導入 これからの働き方に合わせ、物理回線に依存しないVPN型固定IPサービスなどの導入を視野に入れます。
- セキュリティ強化 ファイアウォールルールの整理やセグメント分割など、この機会に安全対策をアップデートします。
IT担当者にとってオフィス移転は大変なプロジェクトですが、事前準備とコミュニケーションを徹底すればトラブルは防げます。
今回のポイントを参考に、固定IPアドレスの不安を解消しつつ、新オフィスでの業務をより快適かつ強靭なものにしていきましょう。