「リモートアクセスVPNの導入にいくらかかるか?」は、テレワーク環境整備を検討する中小企業の担当者が最初に気になるポイントのひとつです。結論から言うと、VPNの方式や規模によって費用は大きく異なり、数万円で済むケースから数百万円を超えるケースまで幅があります。
本記事では、リモートアクセスVPNの費用を構成する要素を項目ごとに整理し、構築型・クラウド型それぞれの費用相場を表で比較します。また、見落としがちな「隠れコスト」や費用を抑えるコツ、企業規模別の導入費用目安も紹介します。
リモートアクセスVPNの費用を構成する要素
VPNの費用は「月額料金だけ」ではありません。以下の複数の要素が組み合わさって、総費用が決まります。
1. 初期費用
サービス開始時に一度だけ発生する費用です。アカウント発行手数料、回線工事費、専用機器(アプライアンス)の設置費用などが含まれます。クラウド型では0円のサービスも増えています。
2. 機器(ハードウェア)代
VPN機器(UTM、ルーター、VPNアプライアンスなど)の購入費または月額レンタル費です。自社で機器を購入するか、ベンダーからレンタルするかで扱いが変わります。
3. 設定・構築費用
機器の設置・設定や既存ネットワーク環境との整合確認など、初期構築にかかる作業費用です。業者に外注する場合と、担当者が自社で行う場合で金額が異なります。
4. 月額利用料
利用するVPNサービスの月額料金です。ユーザー数課金(1人あたり○円)、拠点数課金(1拠点あたり○円)、定額制など、料金体系はサービスによって異なります。
5. ライセンス費用
クライアントソフトウェアや、特定のVPNサービスを利用するためのライセンス費用が別途発生することがあります。
6. 保守・サポート費用
機器の保守契約、ファームウェアアップデートのサポート、障害対応費用などです。保守契約を結ばない場合、障害発生時に別途費用が発生します。
7. 機器更新費用
VPN機器のサポート期間は一般的に3〜5年です。期限を迎えると機器交換が必要になり、再び機器代と設定費が発生します。
構築型 vs クラウド型:費用相場の比較
リモートアクセスVPNは大きく「構築型(自社運用型)」と「クラウド型(マネージド型)」に分かれます。
構築型(オンプレミス型)の費用相場
自社サーバーや専用機器を購入して社内に設置するタイプです。大企業では主流ですが、中小企業にとっては運用の難しさとコストが課題になります。
| 費用項目 | 相場 | 備考 |
|---|---|---|
| VPN機器(UTM/アプライアンス) | 3万〜50万円 | 接続規模・機能による |
| 初期設定・構築費(業者委託) | 5万〜20万円 | 自社対応なら削減可 |
| 固定IPオプション(年額) | 1.2万〜6万円 | ISPにより異なる |
| 月額回線費 | 5,000〜2万円 | 既存回線流用なら不要 |
| 保守契約(年額) | 1万〜5万円 | 任意だが推奨 |
| 機器更新(3〜5年ごと) | 3万〜20万円 | 忘れがちな費用 |
3年間の概算TCO(5名利用の場合):50万〜150万円
クラウド型(マネージド型)の費用相場
クラウド上にVPNサーバーがあり、ユーザーはソフトウェアまたは専用機器経由で接続するタイプです。初期費用が低く、運用の手間が少ないため中小企業に向いています。
| 費用項目 | 相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 0〜8万円 | サービスによって大きく異なる |
| 専用機器代 | 0〜5万円 | レンタル含む場合もあり |
| 月額利用料 | 1,000〜2万円 | ユーザー数・機能により変動 |
| 固定IPオプション | 不要〜5,000円/月 | 不要な方式もある |
| 保守費用 | サービスに含む場合が多い | — |
| 機器更新 | 不要(ベンダー管理) | クラウド型の強み |
3年間の概算TCO(5名利用の場合):15万〜60万円
規模別の費用目安
企業規模や利用ユーザー数によって、適切なVPNサービスと費用目安が異なります。
| 規模 | 利用人数目安 | 構築型TCO(3年) | クラウド型TCO(3年) |
|---|---|---|---|
| 個人事業〜零細企業 | 1〜5名 | 30万〜80万円 | 5万〜20万円 |
| 小規模企業 | 6〜20名 | 50万〜150万円 | 15万〜50万円 |
| 中規模企業 | 21〜50名 | 100万〜300万円 | 30万〜100万円 |
| 中堅〜大企業 | 51名〜 | 200万円〜 | 50万円〜 |
※上記はあくまで目安であり、ネットワーク環境・セキュリティ要件・サポートレベルにより大きく変動します。
見落とされがちな「隠れコスト」
多くの担当者が見落とす費用項目があります。事前に把握しておくことで、予算超過を防ぎましょう。
固定IPアドレスの取得費用
従来型のVPNでは固定グローバルIPが必要なことが多く、既存回線に固定IPオプションを追加すると月額1,000〜5,000円程度の追加費用が発生します。年間に換算すると1.2〜6万円です。導入検討時に見落とすと、契約後に予算に影響します。
VPN対応ルーターへの交換費用
使用中のルーターがVPN(特定のプロトコル)に対応していない場合、機器の交換が必要です。家庭用ルーターからビジネス用VPN対応機器への交換は、1台あたり2〜8万円の費用がかかります。
クライアントPCへのソフトウェア展開コスト
VPNを使うすべての端末にクライアントソフトをインストールし、設定する工数が発生します。社員が多い場合は、IT担当者の工数コストも試算に含めましょう。
回線工事費
新規に専用回線を引く場合や、フレッツ系から法人向け回線に切り替える場合に工事費が発生します。1〜5万円程度が相場です。
想定外のサポート費用
トラブル時の業者対応費(スポット対応)は1回あたり3〜10万円程度になることがあります。保守契約を結んでいない場合は特に注意が必要です。
リモートアクセスVPNの費用を抑える5つのコツ
コツ1:クラウド型を選ぶ
構築型と比べて初期費用が低く、機器更新コストが不要なクラウド型は、中小企業にとってコスト面で優位なことが多いです。保守費用もサービス料金に含まれているケースがほとんどで、TCOを大幅に抑えられます。
コツ2:固定IP不要のサービスを選ぶ
VPNに固定IPが必要な前提は、今や「当たり前」ではありません。社内側のデバイスからクラウドに向けてトンネルを張る方式であれば、固定IPオプションの費用を丸ごと削減できます。
コツ3:初月無料・無料トライアル期間を活用する
複数のサービスをトライアルで試した上で自社に最適なものを選ぶことで、「導入後に想定と違った」という失敗コストを避けられます。
コツ4:契約縛りのないサービスで小さく始める
最低契約期間が長いサービスは、利用者数の変化や業務環境の変化に対応しづらくなります。契約期間なしのサービスをスモールスタートし、必要に応じて拡張する方法が費用リスクを最小化します。
コツ5:必要な機能だけを選ぶ
中小企業に大企業向けの高機能VPNは過剰なことがほとんどです。自社の接続ユーザー数・セキュリティ要件を整理し、必要最低限の機能に絞ったシンプルなサービスを選びましょう。
費用対効果で考える:VPN導入で削減できるコスト
VPN導入は費用だけでなく、費用対効果の観点で考えることが重要です。適切なリモートアクセス環境を整えることで、以下のようなコスト削減・生産性向上効果が期待できます。
- 通勤時間の削減:社員1人あたり月平均20〜30時間の通勤時間を労働に充てられる
- オフィス縮小・交通費削減:テレワーク比率が上がれば、オフィスコストや交通費補助の削減につながる
- 業務継続性(BCP)の向上:自然災害や感染症拡大時にも業務を継続できる体制を確保できる
- 採用範囲の拡大:地理的制約なく優秀な人材を採用できる可能性が広がる
VPN導入コストは「経費」として捉えるだけでなく、これらの効果と合わせて「投資対効果」で判断することが適切です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 月額数百円のVPNと数千円のVPNは何が違うのですか?
A. 一般的に、月額数百円の個人向けVPNは「プライバシー保護」や「地域制限の回避」を目的としたもので、社内ネットワークへのリモートアクセスには対応していません。企業向けリモートアクセスVPNとは根本的に異なるサービスです。法人向けリモートアクセスVPNは、社内サーバーやシステムへの安全なアクセスを実現するための製品です。
Q2. 無料のVPNソフト(SoftEther等)を使えばコストゼロにできますか?
A. SoftEtherなどのオープンソースVPNソフトウェアを利用すれば、ソフトウェアライセンス費用は無料です。ただし、サーバーを自社で用意する必要があり、設定・運用・セキュリティ管理はすべて自社で行う必要があります。IT専門担当者がいない中小企業では、実質的な「人的コスト」が非常に大きくなるため、総合的には割高になることが多いです。
Q3. 社員が5名から20名に増えた場合、費用はどう変わりますか?
A. ユーザー数課金のサービスであれば、ユーザー追加に応じて月額料金が増えます。追加1ユーザーあたり数百円〜数千円が相場です。一方、拠点定額型のサービスであれば、同一拠点内であれば人数が増えても料金が変わらないケースもあります。導入前に、利用規模の拡大時の料金体系を必ず確認しましょう。
Q4. 補助金や助成金を使ってVPN導入費用を削減できますか?
A. IT導入補助金(中小企業庁)や各都道府県の助成制度が活用できる場合があります。IT導入補助金は毎年公募があり、対象ツールに登録されたサービスであれば補助を受けられます。制度の詳細は中小企業庁や各地域の商工会議所にご確認ください。
Q5. 見積もりを取る際に何を確認すればよいですか?
A. 以下の項目を必ず確認しましょう:①初期費用の内訳(何が含まれるか)、②月額料金の内訳(ユーザー数・機能ごとの費用)、③固定IPオプションの必要有無と費用、④保守費用の有無・範囲、⑤ユーザー数増減時の費用変化、⑥契約期間の縛りと違約金、⑦機器(アプライアンス)代の扱い(購入/レンタル)。
まとめ
リモートアクセスVPNの費用は、月額料金だけでは語れません。固定IP取得費、機器代、設定工事費、保守費、機器更新費を含めた「3年間のTCO」で比較することが重要です。
中小企業にとっては、初期費用が低く、運用の手間が少ないクラウド型が費用・効率の両面でメリットがあるケースが多いです。特に固定IP不要・既存ルーター設定変更不要の製品は、隠れコストを削減する観点からも注目です。
費用を抑えながら確実なリモートアクセス環境を整えるために、まずは無料トライアルや初月無料のサービスで実際の使い勝手を確かめることをおすすめします。
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費用面でのポイント:
- 初期費用0円
- 初月0円でお試し可能
- 契約期間なし(気軽に始められる)
- 固定IP不要(固定IPオプション費用が不要)
- 既存ルーターの設定変更不要(ルーター交換費用が不要)
- 最短2日で導入可能(導入待ち時間コストが最小)
これだけの条件が揃っていることで、導入時の隠れコストを大幅に削減できます。月額料金の詳細や最新のプラン情報は、公式ページでご確認ください。
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本記事の費用相場は2026年6月時点の一般的な相場です。実際の費用はサービス提供会社・プラン・利用規模により異なります。



