近年、Webアプリケーションのセキュリティ強化策としてWAF (Web Application Firewall)の導入が進み、中でもクラウドサービスとして提供されるクラウドWAFが広く利用されています。
WAFはWebアプリケーションとインターネットの間に「盾」を置いてHTTP通信を監視・遮断し、クロスサイトスクリプティングやSQLインジェクションなどの攻撃からWebサイトを保護するものです。
その中でIPホワイトリスト(許可リスト)によるアクセス制限は、不正アクセスの防止や誤検知対策に有効な手段として注目されています。
本記事では、クラウドWAFの基本からIPホワイトリストの役割、具体的なAWS WAFやCloudflareでの設定方法、そして固定IPアドレスが必要とされる理由や運用上の注意点について丁寧に解説します。
記事の後半では、当社GMOペパボが提供する「ロリポップ!固定IPアクセス」を活用することでクラウドWAFのIP制限運用がいかにスムーズになるかをご紹介します。
中小企業から大企業まで、情報システムやセキュリティ担当の皆様の参考になれば幸いです。
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WAFとは何か(クラウドWAFの基本)
WAF(Web Application Firewall)とは、Webアプリケーションへの通信をフィルタリング・監視して悪意あるアクセスをブロックするファイアウォールの一種です。
一般的なファイアウォールがネットワーク層の通信を制御するのに対し、WAFは主にHTTP/HTTPSなどアプリケーション層(OSIモデル第7層)のトラフィックを検査し、Webアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃からサイトを守ります。
具体的には、クロスサイトスクリプティング(XSS)やSQLインジェクション、ファイルインクルード攻撃などの不正リクエストを検知して遮断することで、Webサイトの改ざんや情報漏えいを防止します。
近年はオンプレミス型のWAFだけでなく、クラウドWAFと呼ばれるサービス型のWAFが普及しています。
クラウドWAFでは、自社で機器を設置する代わりに、クラウド事業者(例えばAWSやCloudflareなど)のインフラ上でWAF機能を利用します。
クラウドWAFのメリットとして、初期導入が容易でスピーディーなこと、専門知識がなくても最新のルールが自動適用され常に最新の脅威に対応できること、そして月額課金で利用できコストを抑えられることなどが挙げられます。
一方で、自社で細かな挙動を完全にコントロールできない部分がある点は留意が必要ですが、総じてクラウドWAFは手軽かつ強力なWebセキュリティ対策として多くの企業に採用されています。
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IPホワイトリストとは何か、なぜ必要か
IPホワイトリストとは、特定のIPアドレスからのアクセスのみを許可し、それ以外のIPからのアクセスを拒否するセキュリティ設定のことです。
「許可リスト方式」や「ポジティブセキュリティモデル」とも呼ばれ、事前に承認された通信だけを通す仕組みです。
まるで招待客だけ入場できるパーティのリストのように、信頼できる送信元(IPアドレス)以外は最初から門前払いにすることで、不特定多数からの不要なアクセスを遮断します。
なぜIPホワイトリストが必要とされるのか? 主な理由は以下のとおりです。
- 不正アクセスの防止 重要な管理画面や社内向けシステムなどをインターネット上に公開する場合、IPホワイトリストを設定しておけば、許可された拠点(例えば社内ネットワークや特定の拠点の固定IP)以外からはアクセスできなくなります。 不特定の攻撃者からのアクセスを原理的にブロックできるため、セキュリティ対策が格段に強化されます。 特にパスワード認証だけでは不安な場合でも、IP制限を併用すれば万一パスワードが漏洩しても許可IP以外からはアクセスできず被害を抑えられます。
- WAF誤検知への対処 WAFの高度な検査ルールにより、本来は正常な通信がブロックされてしまう「誤検知(フォールスポジティブ)」が起こることがあります。 例えば自社スタッフや信頼できるパートナー企業からのアクセスがWAFに弾かれて業務に支障を来すケースです。 この場合、問題の送信元IPをホワイトリストに追加してWAFの検査対象から除外すれば、誤検知を回避できます。 つまり「このIPアドレスからの通信は安全だから検査せず常に通す」という例外ルールを設けるわけです。 IPホワイトリスト運用は、WAFのセキュリティと業務の利便性を両立させるための調整手段としても有用なのです。
以上のように、IPホワイトリストは「許可された正当な利用者だけを通し、それ以外は入口でブロックする」ことでシステムを保護する強力な方法です。 次章から、実際にクラウドWAFでIPホワイトリスト設定を行う具体的な手順を見ていきましょう。
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AWS WAFでのIPホワイトリスト設定方法(最新UIベース)
それではまず、Amazon Web Services が提供するクラウドWAFである AWS WAF で、特定IPからのアクセスのみ許可するホワイトリスト設定を行う手順を説明します。
AWS WAFはマネジメントコンソール上でGUI操作により設定できます(2025年現在の最新UIに基づき解説します)。
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IPセットの作成 AWS WAFでは、許可またはブロックしたいIPアドレスのリストをIPセット(IP sets)として事前に作成します。 コンソールでWAFサービスを開き、左側メニューから「IP sets」を選択して「Create IP set」をクリックします。 IPセットには名前と説明、適用するリージョン、IPアドレスのバージョン(IPv4/IPv6)を指定できます。 例えば「AllowedIPs」等の名前を付け、リージョンは対象のWebACLと同じリージョンを選びます(CloudFrontに適用する場合は「Global (CloudFront)」を選択します)。 異なるリージョンを選ぶと後でWebACLで利用できないので注意してください。 最後に許可したいIPアドレスをCIDR表記で1行ずつ入力し、「Create IP set」で作成します。
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ホワイトリスト用ルールの追加 次に、作成したIPセットを使用してWebACL(Web Access Control List)に許可ルールを追加します。 AWS WAFコンソールで目的のWebACLを開き、「Rules」タブから「Add rules」をクリック、「Add my own rules and rule groups」を選択します。 ルールのタイプとして「IP set」を選択し、先ほど作成したIPセット(AllowedIPsなど)を指定します。さらに「IP address to use as the originating address」では通常「Source IP address」を選択します(デフォルトで送信元IPで評価されます)。Action(アクション)は「Allow」を選択してください。 ここで誤ってBlockを選ぶとそのIPセット内IPのみブロックするブラックリストになってしまうので注意が必要です。 ルール名も適宜設定し、「Add rule」で追加します。これで「特定IPからのアクセス時には許可」とするルールがWebACLに組み込まれました。
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ルールの優先順位とデフォルト動作の設定 AWS WAFのWebACLでは複数のルールを持つ場合、その評価順序(優先順位)が重要です。 作成したホワイトリスト許可ルールは、他の一般的なブロックルールより上位の優先度に設定しましょう。 そうしないと許可したい通信が別のルールで先にブロックされてしまい、意図通り機能しない可能性があります。 AWS WAFではルール追加後に「Set rule priority」の画面でドラッグ&ドロップや「Move up/down」により順序を調整できます。 一般にホワイトリスト(Allow)ルールは最上位に置き、その下に他のセキュリティルール(ブロックルールなど)を配置するのが安全策です。
さらに、WebACL自体のデフォルト動作も確認します。
AWS WAFのWebACLには、ルールにマッチしなかった場合に許可するかブロックするかのデフォルトアクションを設定できます。
もし「ホワイトリスト以外全てブロック」にしたい場合は、デフォルト動作をBlockに設定することで、明示的にAllowしたIP以外は自動的に遮断できます。
一方、「基本的には許可だが一部IPやパターンのみブロック」という運用ならデフォルトをAllowにし、必要なブロックルールを別途設ける形になります。
今回のように特定のIPだけ通す場合は、デフォルトをBlockにしつつAllowルールを上位に置くことで、「許可IP以外は全てブロック」というホワイトリスト方式が実現できます。
以上でAWS WAF上にIPホワイトリストを設定する作業は完了です。
設定後、対象のWebアプリケーションに実際に許可IPからアクセスしてWAFの動作検証を行いましょう。
許可IPからのリクエストは正常に「Allow」として処理され、それ以外のIPからはブロックされることを確認してください。
万一、許可IPからのアクセスがブロックされている場合はルールの順序やIP入力ミス(CIDR表記の誤り等)を再度チェックしましょう。
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CloudflareでのIPアクセス制御の設定方法(Cloudflare Access含む)
次に、CDNサービスとしても有名なCloudflareでのIPアクセス制限方法を見てみます。
Cloudflareは標準で強力なWAF機能やファイアウォールルールを提供しており、特定IPアドレスのみアクセス許可するといった制限も比較的簡単に実装できます。
ここではCloudflareの機能であるゾーンロックダウン(Zone Lockdown)によるIP制限と、Cloudflareが提供するゼロトラストアクセスサービスCloudflare Accessによるアクセス制御の二つを紹介します。
Cloudflare WAFのゾーンロックダウンによるIP制限
Cloudflareのゾーンロックダウン機能を使うと、指定したURLパスについて特定のIPアドレスからのアクセスだけを許可し、それ以外をブロックできます。
例えばWebサイトの管理者ページや社内向けシステムのURLを、社内ネットワークの固定IPアドレスからのみアクセス可能に制限するといった用途によく使われます。
ゾーンロックダウンはCloudflareのダッシュボードから数ステップで設定できます。
設定手順の概要
- Cloudflareダッシュボードにログインしドメイン選択 Cloudflareに管理対象として追加済みのドメインの設定画面を開きます。左側メニューから「Security」タブ内の「WAF」を選択します。
- ゾーンロックダウンルールの新規作成 WAF画面の「Tools」セクションにある「Zone Lockdown」をクリックし、「Create a Zone Lockdown rule」ボタンを押します。
- ルール内容の入力 ルール作成画面で以下を設定します。 ルール名: 任意の名前(例:「Admin-only-access」など)。
URLまたはパス
アクセス制限を適用する対象URLを指定します。
ドメイン直下全体に適用もできますが、通常は「/admin」のように特定のパスに絞ります。
許可するIPアドレス範囲 アクセスを許可するクライアントIPアドレスを入力します。 単一IPまたはCIDR形式で複数指定可能です(複数入力する場合はカンマ区切り)。
- ルールの保存と適用 全て入力したら「Save and deploy」(ルールを保存・適用)ボタンをクリックします。 すると指定した制限ルールが有効化され、該当URLへのアクセスは許可リストに載ったIPからのリクエストのみ通過し、それ以外はCloudflare側でブロックされます。
このように設定しておけば、例えば社外から管理画面URLにアクセスしようとしても許可されたIPアドレス以外からのアクセスはCloudflareがブロックしてくれるため、Webサーバーまでリクエストが届きません。
不正アクセスの大半を門前でシャットアウトできるわけです。
補足
ゾーンロックダウン設定後に、許可IPアドレスを変更する必要が生じた場合は、Cloudflareダッシュボード上で当該ルールを編集してIPリストを更新します。
また複数のロックダウンルールを併用している場合は、それぞれのURLパターンが競合しないよう注意してください(例えば/admin用と/admin/secure用など範囲が重複する場合はルールの評価順序に留意)。
さらに、定期的にCloudflareの「Security Event」ログを確認し、ブロックされたアクセスの状況を監視することも重要です。
こうした運用上のチェックを行うことで、万一許可すべきIPからのアクセスがブロックされていないか、不審なアクセスが来ていないかを把握できます。
※なお、ゾーンロックダウン機能はCloudflareのプランによって利用可否が異なる場合があります(エンタープライズ向け機能ですが、類似の効果はカスタムファイアウォールルールでも実現可能です)。
無料プランをご利用の場合でも、Firewall Rulesを使用して「許可IP以外をブロック」というルールを作成すれば同様のIP制限を構築できます。
例えばFirewall Ruleで表現すると、条件に「IP Source not in {ホワイトリストIP集合}」かつ「URIが/admin配下」ならブロック、というような論理を設定可能です。
使い慣れた方法で目的を達成すると良いでしょう。
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Cloudflare Accessによるゼロトラストなアクセス制御
上記のゾーンロックダウンはIPアドレスベースの従来型アクセス制御ですが、Cloudflareにはもう一つ強力なサービスがあります。
それがCloudflare Accessです。Cloudflare AccessはCloudflareが提供するゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)サービスで、ユーザーの身元(アイデンティティ)に基づいてアクセス制御を行う仕組みです。
つまりアクセス元IPではなく、「そのユーザーが誰か」を確認してからアプリケーションへの接続を許可するものです。
Cloudflare Accessを導入すると、対象のWebアプリやURLにアクセスが来た際、Cloudflareのエッジ側で認証画面が表示され、予め許可されたユーザーだけが先に進めるようになります。
認証方法としては、Google WorkspaceやAzure ADなどのSAML/OIDC対応の社内IDプロバイダーと連携してシングルサインオン(SSO)を実現したり、GitHubやOktaアカウント、あるいはCloudflareが提供するワンタイムPIN認証(メールに一回限りのコードを送付)など柔軟に選択できます。
要は社内システムへのアクセスに都度本人確認を行うゲートを設けるイメージです。
Cloudflare Accessを利用することで、従来は「社内ネットワークからのアクセスしか許可しない」としていた社内Webシステムであっても、ネットワーク境界に依存せずユーザー単位でアクセス可否を制御できます。
例えば社員や関係者であれば自宅や出先からでも、自分の会社アカウントで認証することでアクセス可能にしつつ、第三者はたとえURLを知っていてもログインできないため入れません。
これによりリモートワーク環境でもセキュアかつ柔軟なアクセス管理が実現できますze。
Cloudflare Accessの基本設定: 利用にはCloudflare Zero Trustダッシュボード(旧Cloudflare for Teams)上での設定が必要です。
大まかな手順は以下のとおりです。
- Cloudflare Zero Trustのコンソールから「Access」→「Applications」へ移動し、新しいアプリケーションの定義を作成します。 対象とする社内WebアプリのドメインやURLを登録し、アプリ名を付けます。 種類は自社ホストのアプリなら「Self-hosted」を選択します。
- 次にそのアプリケーションに対してポリシーを設定します。 ポリシーでは「誰にどんな条件でアクセスを許可するか」を定義します。 例えば、「社用メールアドレスが@example.co.jpのユーザーはログイン許可」「それ以外はブロック」といったルールや、「特定のOktaグループに属するユーザーのみ許可」「さらに多要素認証が必須」など、条件を自由に組み合わせ可能です。 IPアドレスによる条件も設定画面でRequire: IP rangesという形で追加でき、他のユーザー認証と組み合わせることもできます。 ポリシーのアクションは通常「Allow」(許可)ですが、社内システムによっては一部ユーザーをバイパスさせること(例: 特定IPからの社内API呼び出しは認証なしで通す)や、一時的なゲストアクセスを許可する設定なども可能です。
- ポリシー設定を保存すれば適用完了です。 以後、そのアプリケーションURLへアクセスが来るとCloudflareのアクセス認証画面にリダイレクトされ、ユーザーは指定の方法でログイン認証を求められます。 認証に成功し、ポリシーで許可されたユーザーであればアプリにアクセスができ、認証できない・許可されないユーザーはアクセス拒否となります。
Cloudflare Accessの導入によって、IPアドレスが固定でなくとも安全にアクセス制御を行える点が大きな利点です。
最近ではオフィス移転等で従来使っていた固定IPが使えなくなったり、社員がリモートワークで各自異なるネットワークから接続するケースも増えました。
そうした環境でIPベースのホワイトリストを維持するのは困難ですが、Accessならユーザー認証ベースなので問題ありません。
一方で導入にはCloudflare側の設定や社内認証基盤との連携が必要になるため、手軽さという点では後述する固定IPサービスの活用など他の選択肢も検討すると良いでしょう。
規模が小さくID管理までは不要な場合や、既存のIP制限運用を大きく変えたくない場合は、無理にゼロトラストを導入しなくても、次に説明する固定IPアドレスを用いた従来方式で十分セキュアかつ効率的に運用できるケースも多々あります。
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固定IPでなければIP制限が成立しない理由
ここまでIPホワイトリストによるアクセス制御について見てきましたが、この方法を運用する前提として「通信元のIPアドレスが安定して変わらないこと」=固定IPであることが極めて重要です。
固定IPでなければ、せっかく設定したIP制限が有名無実化してしまう理由を整理します。
多くのインターネット接続環境では、プロバイダから割り当てられるグローバルIPアドレスが動的(IPアドレスが接続のたび変更される)になっています。
たとえば自宅の光回線やスマートフォンのテザリングでは、ルーターの再起動や一定期間ごとにIPがコロコロ変わることがあります。
もしこうした動的IP環境のユーザーをホワイトリストで許可しようとしても、最初に登録したIPは短期間で無効となり、IPが変わるたびに新しいアドレスを登録し直さなければなりません。
それは現実的に非常に手間ですし、更新が追いつかなければ「許可IPの申請待ちで作業が中断する」といった事態にもなりかねません。
実際、ある企業ではオフィス移転で以前の固定IPが使えなくなり、社員のリモート作業時にIP制限のたび重い手続きが発生するようになったため、IP制限そのものの見直しを迫られた例もあります。
要するに、IP制限は「誰々さんのアクセスを許可する」というより「どのネットワーク(IP)からのアクセスを許可する」ものであるため、利用者側のネットワークが固定でないと真価を発揮できません。
逆にいえばIPアドレスさえ固定されていれば、一度ホワイトリストに登録しておくだけで以後はIP変更を気にせず安定してアクセス可能になります。
例えば社内システムに対して「自社オフィスの固定IP以外はアクセス不可」と設定すれば、オフィスからは常に安全に入れますが、自宅からでは入れないわけです。ではリモートワーク時や外出先からはどうするか? その解決策としては、先述のCloudflare AccessのようにIPに頼らない方法を取るか、あるいは通信元を強制的に固定IP化することが考えられます。後者について言えば、自宅やカフェからでも仮想的に固定IPを使ってアクセスする方法が存在します。
それが次に述べる当社サービス「ロリポップ!固定IPアクセス」の活用です。
まとめると、IPアドレスが変動する限りIPホワイトリスト運用は煩雑になり、最悪セキュリティホールにもなり得るため、IP制限を適用したいシステムの利用者には可能な限り固定IP経由でアクセスさせることが重要です。
近年では固定IPアドレスの需要が高まり、各種サービスでも「特定IPのみ許可」オプションが増えていますが、その背景にはリモートワークの普及やゼロトラスト移行の過程で「どこからアクセスしてくるか」を制御する必要性が再認識されている事情があります。
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WAFのIP制限運用時に注意すべきポイント
最後に、WAFでIP制限(ホワイトリスト/ブラックリスト運用)を行う際の全般的な注意点やベストプラクティスを整理します。
導入して終わりではなく、運用フェーズで気を付けるべき事項を押さえておきましょう。
- 定期的なログ監視とリスト更 IP制限ルールを適用したら、WAFやファイアウォールのログを定期的にチェックしましょう。 許可リスト方式の場合、基本的には許可IP以外はブロックされますが、その中にもし業務上正当なアクセス源が含まれていないか確認が必要です。 特に新たに提携した外部企業のアクセスや、クラウドサービスのIPレンジ変更などにより「本来許可すべきIPをブロックしてしまっている」ケースがないか注視します。 不審なブロックログがあれば調査し、必要に応じてIPリストに追加します。 逆にブラックリスト運用(ブロックリスト)では、ログから新たな悪意あるIPを発見して随時ブロックリストに追加する、といった対応が求められます。 このようにIPリストの適切な運用継続が重要ですが、手作業では限界があるため、可能であれば自動更新ツールの活用や定期的な見直しフローの確立をおすすめします。
- 許可IPの管理と変更手続き ホワイトリスト方式では「誰のどのIPを許可しているか」を常に把握し、状況変化に合わせて見直すことが必要です。 担当者の異動・退職や拠点の統廃合、新サービスの利用開始などで「このIPも通す必要が出てきた」「このIPはもう不要になった」というケースが発生します。 その際、所定の手続きで速やかにIPリストを変更できるよう、社内ルールを整備しておきましょう。 変更フローが煩雑だと「一時的に制限を無効化したまま放置」といったリスクも生じかねません。 例えば「許可IP追加の申請窓口を一本化し、承認後ただちにWAF設定に反映する」「不要になったIPは定期棚卸しで削除する」といった体制づくりが大切です。
- ルールの優先度と例外設定 既に述べたように、WAF上で複数のセキュリティルールを運用する場合はホワイトリスト/ブラックリストの評価順序に注意します。 他のルール(SQLインジェクション検知など)より前に許可ルールが評価されれば、そのIPからの通信は他ルールに引っかからずに通過します。 これは誤検知回避には有効ですが、裏を返せばホワイトリストIPからの攻撃的なリクエストも通ってしまう恐れがあります。 許可IPであっても基本的なWAF検査は適用したい場合、AllowではなくCount(検知のみ)アクションにする、高度なWAFルールとの組み合わせで例外を細かく設定する、といった工夫もあり得ます。 運用ポリシーに応じて「どこまで許可IPを免除するか」を決め、WAFルールをチューニングしてください。
- ネットワーク環境の考慮 クラウドWAFの場合、CDN経由アクセスやプロキシ環境下ではクライアントの実IPが通常とは異なる形で届く点に注意が必要です。 例えばCloudflareを利用中のサイトでOriginサーバー側にも独自のIP制限をかける場合、実際に接続元となるのはCloudflareのサーバー群のIPアドレスになります。 Cloudflareからの接続のみ許可する設定(Cloudflare IPレンジのホワイトリスト化)をしつつ、アプリケーションレベルではCloudflareが付加するヘッダーで元のクライアントIPを見て制御する、といった多段構成を正しく行う必要があります。 AWS WAFの場合はCloudFront+WAF(グローバル)なのかリージョナルWAFなのかで参照すべきIPや設定個所が異なりますので、アーキテクチャ全体を踏まえてIP制限を掛けるべき場所を決定してください。
- 他の認証・セキュリティとの併用 IP制限は強力ですが万能ではありません。 許可されたネットワーク内部からの攻撃や内部犯行、あるいは許可IPが第三者に乗っ取られる(VPNの認証情報漏洩など)リスクもゼロではありません。 そのため、IPホワイトリストで入口を絞り込んだ上でも、アプリケーション側でのユーザー認証や多要素認証、暗号化通信など他のセキュリティ対策と組み合わせることが重要です。多層防御により万一の突破時にも被害を最小限にとどめるようにしましょう。 また「IP制限しているから安心」と油断せず、許可ネットワーク内の端末セキュリティにも気を配る必要があります。
以上の点を踏まえて運用すれば、WAFのIP制限はセキュリティ向上に大きく寄与します。
しかし手間や煩雑さを感じる場面もあるでしょう。次章では、そうしたIP制限運用を劇的に簡素化できる当社サービス「ロリポップ!固定IPアクセス」についてご紹介します。
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ロリポップ!固定IPアクセスでクラウドWAFのIPホワイトリスト運用をスムーズに
「ロリポップ!固定IPアクセス」は、GMOペパボが提供する安価で手軽な固定IPアドレス付与サービスです。
月額わずか539円(税込)という国内最安値水準の料金で、契約後即日から固定IPアドレスを利用できます。
技術的には最新のVPNプロトコルであるWireGuardを採用しており、ユーザーのデバイス(PCやスマホ)からこのサービスのVPNサーバーに接続することで、常に決まったグローバルIPアドレス経由でインターネットにアクセスできるようになります。
要するに「どこにいても同じIPアドレスから通信しているように見せる」ことができるサービスです。
この「ロリポップ!固定IPアクセス」を活用すれば、クラウドWAFのIPホワイトリスト運用は格段にスムーズになります。
具体的には、リモートワーク中の社員や外出先の担当者でもまず本サービスに接続してから業務システムにアクセスするようにすれば、WAF側では常に指定の固定IPからのアクセスとして扱われます。
WAFやクラウドサービスの設定画面でその固定IPアドレス1つさえ許可リストに登録しておけば、利用者ごとの自宅回線のIP変動やモバイル回線の影響を気にする必要がなくなるのです。
固定IPアドレスを利用することで、社内システムのアクセス元を特定のIPに制限し、許可していないIPからの接続をブロックすることができます。
従来は難しかった在宅勤務者などのアクセスも安全に実現できます。
本サービスには複数人での利用にも対応しています。1契約で割り当てられる固定IPアドレスに対し、追加ライセンスを購入することで複数の端末から同時に接続可能です。
例えば5人のチーム全員が同じ固定IPを共有してVPN接続し、そのIPだけWAFで許可するといったことが容易にできます。
ライセンス数は利用状況に合わせて月単位で柔軟に増減できるため、無駄なコストを抑えつつスモールスタートから大規模利用まで対応可能です。
また個人・法人問わず申し込みでき、面倒な事業者審査もなくオンラインで完結、申し込んだその日から使い始められる手軽さも魅力です。
初めての1IPについては最大2ヶ月間の無料お試し期間も用意されており、導入前に十分検証いただけます。
ロリポップ!固定IPアクセス導入によるメリットをまとめると
- リモートアクセスの安全性向上 在宅や外出先など社外から社内システムにアクセスする場合でも、常に自社専用の固定IP経由となるため、WAFで厳格なIP制限を掛けつつ業務を行えます。 不特定の環境からの直接アクセスを避けられるのでセキュリティリスクが低減します。
- IPホワイトリスト運用の効率化 ユーザーごとの環境に左右されずIPリストを一括管理できます。 例えば店舗チェーンの各拠点から本部システムにアクセスする場合でも、このサービス経由に統一すれば許可IPの管理を集中できます。 IP変更時の都度対応も不要になり、「許可IPが変わってアクセスできない」といったトラブルが解消します。
- 低コスト&スピーディーな導入 月額数百円から始められ、専用回線を引いたり高価なセキュリティ機器を購入する必要がありません。 VPN接続用のアプリ(WireGuard対応クライアント)に発行された設定ファイルを読み込ませるだけのシンプル設定で、専門知識がなくてもすぐ利用可能です。 社内ネットワーク全体のVPN構築に比べても圧倒的に手軽です。
以上のように、「ロリポップ!固定IPアクセス」はクラウドWAFのIP制限と非常に相性の良いソリューションです。
実際、「IPアドレス制限をしている社内業務ツールに社外からアクセスしたい」「複数拠点から行うWeb開発を安全に行いたい」「系列店舗システムで使う固定IPを一元管理したい」といったニーズに応えるサービスとして提供されています。
社内システムを守りつつリモートワークの利便性も確保したい企業様には最適と言えるでしょう。
ぜひこの機会に、クラウドWAFでのIPホワイトリスト運用に「ロリポップ!固定IPアクセス」の活用をご検討ください。
固定IPアドレスの力で、「どこからでも安全に」業務システムにアクセスできる環境を構築し、セキュリティと業務効率の両立を実現してみませんか?