リモートアクセスVPNを導入しようとしたとき、「種類が多すぎてどれを選べばいいかわからない」と感じる担当者は少なくありません。本記事では、中小企業がリモートアクセスVPNを選ぶ際の7つのチェックポイントを、具体的な観点と判断基準を交えて解説します。
費用・設定難易度・セキュリティ・サポート・対応デバイス・拡張性・契約条件という7つの軸で整理することで、自社に最適なサービスを見つけるための判断基準が明確になります。
なぜ中小企業向けのVPN選定は難しいのか
VPNサービスは、個人向けプライバシー保護ツールから、数百人規模の企業向けセキュリティ基盤まで幅広く存在します。この多様性こそが、中小企業担当者の混乱を招く最大の原因です。
加えて、中小企業特有の事情として以下の点があります。
- IT専任担当者がいない(または情シスが1〜2名)
- 予算が限られている
- 導入後の運用に割ける工数が少ない
- 将来の事業規模の変化が読みにくい
これらを踏まえると、「大企業で使われている高機能なVPN」が必ずしも正解ではないことがわかります。以下の7つのチェックポイントを順に確認していきましょう。
チェックポイント1:費用(初期費用・月額・TCO)
なぜ重要か
VPN選定で最もよくある失敗が「月額料金だけを比較して選んだら、隠れコストが多かった」というケースです。費用は複数の要素で構成されており、総合的に評価する必要があります。
確認すべき費用項目
| 費用項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 初期費用 | アカウント発行・設定・工事費の有無 |
| 専用機器(アプライアンス)代 | 購入かレンタルか、費用はいくらか |
| 固定IPオプション | 別途必要か不要か |
| 月額利用料 | ユーザー数課金か拠点定額か |
| 保守・サポート費 | サービスに含まれるか別途かかるか |
| 契約満了・機器更新費 | 3〜5年後の費用が発生するか |
中小企業向けのチェック基準
- 初期費用が0円または低額であること
- ユーザー数が少ない段階でも割高にならない料金体系であること
- 3年間のTCO(総所有コスト)で他サービスと比較すること
- 固定IP取得が不要なサービスは、隠れコストを削減できる
チェックポイント2:設定の難易度
なぜ重要か
IT専任担当者がいない中小企業では、「設定が難しすぎて導入できなかった」「外部業者に頼んだら費用がかさんだ」という失敗が多く発生します。導入のしやすさは、費用と同様に重要な判断軸です。
タイプ別の設定難易度
| タイプ | 設定難易度 | 代表的な特徴 |
|---|---|---|
| ソフトウェア自己構築型 | 高い | サーバー構築・ポート開放・証明書設定が必要 |
| 構築型(アプライアンス) | 中程度 | 機器設置後にGUIで設定、ルーター設定変更が必要 |
| クラウド型(機器あり) | 低い | 機器を社内LANに挿すだけで動作するものも |
| クラウド型(ソフトウェアのみ) | 低〜中程度 | 管理コンソールでの設定が必要だがハードウェアは不要 |
中小企業向けのチェック基準
- 既存ルーターの設定変更が不要かどうか(ルーター設定は専門知識が必要)
- 管理画面がわかりやすく、担当者交代時でも操作できるか
- ユーザーの追加・削除がWebコンソールで完結するか
- 接続エラー時にベンダーがサポートしてくれるか
チェックポイント3:セキュリティ
なぜ重要か
VPNは社内ネットワークへの「入り口」です。設定が不十分だったり、脆弱性のある機器を使い続けたりすると、サイバー攻撃の経路になります。特に、中小企業はサイバー犯罪者から「セキュリティが弱い標的」として狙われやすい傾向があります。
セキュリティの確認項目
| セキュリティ項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 暗号化方式 | AES-256などの現行標準を使用しているか |
| 認証方式 | 多要素認証(MFA)に対応しているか |
| プロトコルの新しさ | PPTPなど旧式プロトコルは使用していないか |
| ログポリシー | 通信ログの保存・管理方針が明確か |
| 脆弱性対応 | ファームウェアの自動更新・迅速なパッチ適用があるか |
| ネットワーク公開範囲 | 社内ネットワークを外部に公開しない方式か |
中小企業向けのチェック基準
- AES-256以上の暗号化を使用していること
- 多要素認証(MFA)が利用できること
- 社内ネットワークを外部公開しない方式であること(社内側からクラウドにトンネルを張る方式)
- セキュリティアップデートをベンダーが管理してくれるクラウドマネージド型は運用負担が少ない
- ノーログ運用(通信内容を保存しない)を明示しているサービスはプライバシー保護の観点で望ましい
チェックポイント4:サポート体制
なぜ重要か
導入後にトラブルが発生した際、自社で解決できなければ業務が停止します。「サポートに電話したら担当者がいなかった」「メールを送っても3日後に返信が来た」では困ります。
サポートの確認項目
| サポート項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 対応チャネル | 電話・メール・チャットのどれが利用可能か |
| 対応時間 | 平日営業時間のみか、24時間対応か |
| 日本語対応 | 日本語でのサポートが受けられるか |
| 導入時サポート | 初期設定を手伝ってもらえるか |
| FAQ・マニュアル | 自己解決できるドキュメントが充実しているか |
中小企業向けのチェック基準
- 日本語でのサポートが受けられること(海外サービスでは英語のみの場合がある)
- 電話でのサポートが受けられると緊急時に安心
- 初期設定サポートがある、またはセルフで対応できるドキュメントが充実している
- サービス契約にサポートが含まれており、追加費用が発生しない
チェックポイント5:対応デバイスとOS
なぜ重要か
「契約後に自社のPCが対応していなかった」「スマートフォンからアクセスできなかった」というケースは珍しくありません。特に多様な端末を使う環境では、事前確認が必須です。
対応デバイスの確認項目
| デバイス・OS | 確認ポイント |
|---|---|
| Windows | 対応バージョン(10/11など)の確認 |
| macOS | 対応版数と動作確認状況 |
| iOS(iPhone/iPad) | 専用アプリの有無・対応バージョン |
| Android | 専用アプリの有無・対応バージョン |
| ChromeOS | 対応状況(Chromebookユーザーがいる場合) |
| BYOD(私用端末) | 私用デバイスからの接続を許可・管理できるか |
中小企業向けのチェック基準
- 社内で使用しているすべての端末のOSとバージョンをリストアップし、対応状況を確認する
- 将来的にモバイル活用を予定しているなら、スマートフォン・タブレット対応のロードマップを確認する
- Windows専用サービスの場合、全員がWindows端末であれば問題ないが、Macユーザーがいる場合は要注意
チェックポイント6:拡張性(スケーラビリティ)
なぜ重要か
今は5名の利用でも、事業拡大でリモートワーク利用者が増えることがあります。その際に「ユーザーを簡単に追加できるか」「料金が急激に上がらないか」が重要です。
拡張性の確認項目
| 拡張性項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| ユーザー追加の手順 | 管理コンソールでできるか、都度申し込みが必要か |
| 同時接続数の上限 | 何名まで同時にVPNに接続できるか |
| 追加時の費用増加幅 | ユーザー1名追加でいくら増えるか |
| 上位プランへの移行 | 規模が大きくなった際にスムーズに移行できるか |
| 複数拠点対応 | 将来的に拠点が増えた際にも対応できるか |
中小企業向けのチェック基準
- ユーザー追加が管理コンソール上で即日対応できること
- 利用者数が2倍・3倍になった際の月額費用を試算しておくこと
- 急激な人数増加にも対応できる柔軟な料金体系であること
チェックポイント7:契約条件
なぜ重要か
「最低利用期間が2年で、途中解約すると違約金が発生する」というケースがあります。特に初めてVPNを導入する中小企業では、実際に使ってみないとニーズが確定しないため、契約の柔軟性が重要です。
契約条件の確認項目
| 契約項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 最低利用期間 | 縛りが何ヶ月・何年あるか |
| 解約方法と違約金 | いつでも解約できるか、違約金は発生するか |
| 試用期間 | 無料トライアルや初月無料があるか |
| 自動更新の有無 | 自動更新される場合、更新通知はあるか |
| プラン変更の可否 | 途中でプランを変更できるか |
中小企業向けのチェック基準
- 契約期間の縛りなし、またはできるだけ短い最低利用期間を選ぶ
- 無料トライアルや初月無料で実際の使い勝手を確認してから本契約する
- 解約手続きが複雑でないことを確認する
7つのチェックポイント まとめ表
| # | チェックポイント | 中小企業に特に重要なポイント |
|---|---|---|
| 1 | 費用 | TCO(3年間)での比較、隠れコストの把握 |
| 2 | 設定の難易度 | ルーター設定不要、挿すだけで動作するか |
| 3 | セキュリティ | AES-256暗号化、MFA対応、社内NW非公開方式 |
| 4 | サポート体制 | 日本語電話サポート、導入時サポートの有無 |
| 5 | 対応デバイス | 社内の全端末OSとのマッチング確認 |
| 6 | 拡張性 | ユーザー追加の容易さ、費用の増加幅 |
| 7 | 契約条件 | 縛りなし、無料トライアルの有無 |
構築型とクラウド型:中小企業はどちらを選ぶべきか
リモートアクセスVPNは大きく「構築型(オンプレミス型)」と「クラウド型(マネージド型)」に分類されます。それぞれの向き不向きを以下で整理します。
構築型(オンプレミス型)が向いているケース
- IT専任担当者が複数名おり、ネットワーク知識が豊富
- 高度なカスタマイズや特定のセキュリティ要件がある
- 利用ユーザー数が多く(50名以上)、固定費で管理したい
- オンプレミス基幹システムとの統合が必要
クラウド型(マネージド型)が向いているケース
- IT専任担当者がいない、または兼任の中小企業
- 早く(最短数日で)導入したい/初期費用を抑えたい
- 利用人数の変動に柔軟に対応したい
- ファームウェア管理などの運用負担を減らしたい
- 既存のルーターや回線環境を変更したくない
多くの中小企業では、クラウド型が実態に合ったコストと運用負担を実現できます。
選定時によくある落とし穴
落とし穴1:「有名なサービス=自社に合っている」ではない
大企業での導入事例が多い大手VPN製品が、中小企業の環境や運用体制には過剰な場合があります。機能が豊富すぎて使いこなせない、設定が複雑すぎるという事態を避けるには、自社規模に特化した製品を検討しましょう。
落とし穴2:デモや試用なしに契約する
製品の良し悪しは実際に使ってみないとわかりません。特に「管理画面の使いやすさ」「接続の安定性」は試用しないとわからない部分です。無料トライアルや初月無料の制度を必ず活用しましょう。
落とし穴3:費用比較を月額のみで行う
VPNの費用は月額だけでなく初期費用・機器代・固定IPオプション・保守費を含む総コストで比較すべきです。月額が安くても隠れコストが多いサービスは結果的に割高になります。
落とし穴4:将来の拡張を考慮しない
「今は5名だから」と拡張性を確認しないまま契約すると、人数増加時に別サービスへの乗り換えが必要になる場合があります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 中小企業でも自社でVPN導入・設定できますか?
A. 機器を挿すだけで動作するクラウド型であれば、IT専門知識がなくても導入可能です。構築型や複雑なクラウドVPNはネットワーク知識が必要です。「自社のITリソースで運用できるか」を最初に確認することが重要です。
Q2. セキュリティを優先するなら構築型の方がいいですか?
A. 必ずしもそうではありません。構築型は設定ミスやファームウェア更新忘れによるリスクも高まります。クラウド型マネージドサービスではベンダーが継続的にアップデートを適用してくれるため、専門知識がない中小企業ではむしろ安全な場合があります。
Q3. VPNとリモートデスクトップサービスはどう違いますか?
A. VPNは「社内ネットワークへのトンネル」を提供し、接続後は社内サーバーやファイルに直接アクセスできます。リモートデスクトップ(RDP)は社内PCを遠隔操作するツールです。多くの場合、VPN経由でリモートデスクトップを使う組み合わせが採用されます。
Q4. 社員が私用スマートフォンでリモートアクセスしたい場合はどうすればよいですか?
A. VPNサービスのiOS・Android対応状況と、私用端末からの接続を管理ポリシーで許可できるかを確認してください。MDM(モバイルデバイス管理)ツールと組み合わせることも一般的です。
Q5. 契約後に別のサービスに乗り換えることはできますか?
A. 技術的には可能ですが、解約手続き・新サービス導入・ユーザー再設定の手間がかかり、最低利用期間がある場合は違約金も発生します。最初の選定を慎重に行うことが重要です。
まとめ
中小企業がリモートアクセスVPNを選ぶ際は、7つのチェックポイント(費用・設定難易度・セキュリティ・サポート・対応デバイス・拡張性・契約条件)を総合的に評価することが重要です。
特に中小企業では「IT担当者が少ない」「運用に割けるリソースが限られている」という制約があるため、シンプルに導入でき、運用負担が少なく、費用が明確なサービスを優先的に検討しましょう。
「自社のITリソースで本当に運用できるか」を起点に選定することが、VPN導入の成功への近道です。
中小企業向けに設計されたリモートアクセスVPN:だれリモVPN
本記事で紹介した7つのチェックポイントをバランスよく満たすサービスとして、**ロリポップ!固定IPアクセスが取次販売する「だれリモVPN」**をご紹介します。
| チェックポイント | だれリモVPNの対応 |
|---|---|
| 費用 | 初期費用0円・初月0円・契約期間なし |
| 設定の難易度 | 専用機器「FLINT plus」を社内LANに挿すだけ |
| セキュリティ | AES-256/SHA-384の二重VPN暗号化・ノーログ運用 |
| サポート体制 | 日本語サポートあり |
| 対応デバイス | 現状Windows対応(Mac/スマホは順次対応予定) |
| 拡張性 | クラウド型でスケールしやすい設計 |
| 契約条件 | 契約期間なし・初月無料で試せる |
固定IP取得が不要で、既存ルーターの設定変更も不要。VPN非対応のルーターでも問題なく動作します。社内側からVPNを張る方式を採用しているため、社内ネットワークを外部に公開せずに済む安心設計です。
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