「VPNを使えば安全」という言葉をよく耳にしますが、何がどのように安全になるのか、具体的に理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。本記事では、VPNが通信を保護する仕組み(暗号化・トンネリング・認証)を平易に解説し、AES-256などの暗号化方式や二重VPN構成の意味、ノーログ運用が重要な理由、そしてVPNを使っても残るリスクと補完策についてまとめます。
VPNとは何かを改めて整理する
VPN(Virtual Private Network)は、インターネットなど公共のネットワーク上に「仮想的な専用線」を構築する技術です。本来は傍受リスクのあるインターネット回線上でも、まるで専用の閉じた回線を使っているかのように安全に通信できるようにする仕組みです。
リモートアクセスVPNの場合は、「自宅や外出先のPC(クライアント)」と「会社のネットワーク(サーバー側)」の間にVPNトンネルを構築し、社内にいるのと同じようにシステムやファイルサーバーへアクセスできるようにします。
VPNが通信を安全にする3つの仕組み
仕組み1:暗号化(Encryption)
暗号化とは、データを第三者が読み取れない形式に変換することです。VPNでは、送信するデータ(通信内容)を暗号化したうえでネットワーク上を流します。これにより、通信を傍受されても内容を読み取ることができません。
暗号化が有効な場面の例:
- 公共Wi-Fiを使って社内システムにアクセスするとき
- モバイル回線で業務データをやり取りするとき
仕組み2:トンネリング(Tunneling)
トンネリングとは、送信データを別のプロトコルで「包む(カプセル化)」技術です。VPNでは、業務データをVPN専用のプロトコルでパッケージして送受信することで、外部からは「何を通信しているか」が分かりにくくなります。
暗号化と組み合わせることで、「内容も見えず」「何を通信しているかも特定しにくい」状態を実現します。
仕組み3:認証(Authentication)
VPNトンネルを確立する際、「この接続を求めてきたのは正当なユーザー・機器か」を確認するのが認証です。認証が不十分だと、不正なユーザーがVPNトンネルに侵入できてしまいます。
主な認証方式には以下があります:
- ユーザー名・パスワード認証:最も基本的だが、単体では不十分なことが多い
- 証明書認証:機器やユーザーに発行されたデジタル証明書による認証
- 多要素認証(MFA):パスワードに加え、スマートフォンのOTPや生体認証を組み合わせる
暗号化方式の種類と「AES-256」の意味
共通鍵暗号と公開鍵暗号
VPNで使われる暗号化には大きく2種類あります。
| 種類 | 特徴 | 用途例 |
|---|---|---|
| 共通鍵暗号(対称暗号) | 送受信で同じ鍵を使う。処理が高速 | データ通信本体の暗号化 |
| 公開鍵暗号(非対称暗号) | 公開鍵で暗号化し、秘密鍵で復号。鍵交換に使う | 接続確立時の鍵の受け渡し |
VPNでは、接続確立時に公開鍵暗号で安全に共通鍵を交換し、その後の通信は共通鍵暗号で高速に暗号化するという組み合わせが一般的です。
AES(Advanced Encryption Standard)とは
AES(エーイーイーエス)は、現在世界標準として広く使われている共通鍵暗号方式です。米国国立標準技術研究所(NIST)が2001年に標準として採用し、政府機関や金融機関をはじめ多くの場面で採用されています。
「256」とは何を意味するか
暗号鍵の長さ(ビット数)を表します。AES-256は256ビットの鍵を使い、理論上の総当たり攻撃(ブルートフォース攻撃)には現実的な時間内で突破することが不可能なレベルとされています。AES-128(128ビット)も実用上は十分な強度とされていますが、AES-256はさらに高い安全余裕を持っています。
SHA-384(SHA-2)とは
SHA(Secure Hash Algorithm)は、データの完全性検証(改ざん検知)に使われるハッシュ関数です。SHA-384はSHA-2ファミリーの一つで、384ビットのハッシュ値を生成します。通信の完全性確認(データが途中で改ざんされていないことの確認)に用いられます。
主なVPNプロトコルと採用暗号の比較
VPNトンネルを構築する「プロトコル(通信規格)」によって、採用される暗号方式は異なります。
| プロトコル | 暗号化方式 | 特徴 |
|---|---|---|
| OpenVPN | AES-256等(設定可能) | オープンソース、高い柔軟性 |
| IKEv2/IPsec | AES-256等 | モバイル再接続性が高い |
| WireGuard | ChaCha20、Poly1305 | 軽量・高速、モダンな設計 |
| L2TP/IPsec | AES-256等 | 広く対応機器が多い |
| PPTP | RC4等(旧式) | 現在はセキュリティ上推奨されない |
PPTPは古いプロトコルであり、現在は利用を避けることが推奨されています。
二重VPN(ダブルVPN)の仕組みとメリット
二重VPNとは
通常のVPNは1つのVPNサーバー(またはVPN機器)を経由します。二重VPN(ダブルVPN)は、通信を2つのVPN中継点を経由させることで暗号化・経路の保護を二重にする方式です。
通信の流れ
[ユーザー端末]
↓ 暗号化(1回目)
[VPN中継点1]
↓ 復号→再暗号化(2回目)
[VPN中継点2]
↓ 復号
[接続先(社内ネットワーク等)]
二重VPNのメリット
- 暗号化の二重化:1つ目のサーバーが解読されても、2つ目のサーバーへの経路は別途暗号化される
- 通信元の追跡難度の向上:2つのサーバーを経由することで、通信元の特定に2段階の解析が必要になる
- 単一障害点の回避:1つのVPN中継点が侵害されても、もう一方の保護が機能する
二重VPNの注意点
- 2つのサーバーを経由するため、通信速度は低下する場合がある
- 二重化の効果は、2つの中継点がそれぞれ独立して適切に運用・管理されていることが前提
だれリモVPNが採用している「二重VPN」構成は、この二重の保護を実現することで、単一VPN構成に比べて通信の安全性をさらに高めています。
ノーログ運用とはどういう意味か
ログとは何か
ネットワーク通信では「どのIPアドレスが、いつ、どこに接続したか」などの記録(ログ)が生成されます。VPNサービスによっては、このログを収集・保存しているものがあります。
ノーログ運用の意義
「ノーログ(No-Log)」とは、VPN事業者が通信ログを記録・保存しないことを意味します。ログが保存されていれば、事業者への問い合わせや法的手続きによって通信記録が第三者に渡るリスクが生じます。ノーログ運用はこのリスクを低減します。
ただし、ノーログ運用であることを確認する手段として、第三者による監査の実施や明確なプライバシーポリシーの提示があります。契約前にサービス提供者の方針を確認することが推奨されます。
VPNを使っても残るリスクと補完策
VPNは通信経路の保護に有効ですが、「VPNを使えばすべてのリスクがなくなる」わけではありません。VPN利用時に残るリスクと、その補完策を整理します。
| 残るリスク | 内容 | 補完策 |
|---|---|---|
| エンドポイントの脆弱性 | VPN接続した端末自体がマルウェアに感染していれば、社内ネットワークに脅威が持ち込まれる | エンドポイントセキュリティ(ウイルス対策)の導入・更新 |
| 認証情報の漏洩 | パスワードが漏洩すれば、正規の認証として侵入される | 多要素認証(MFA)の導入 |
| VPN機器・ソフトの脆弱性 | VPN機器自体の脆弱性から侵入される(前記事参照) | ファームウェアの継続的な更新 |
| フィッシング | VPNの外でフィッシングに引っかかり認証情報を盗まれる | セキュリティ教育の実施 |
| 通信先サーバーの問題 | VPNで安全に届いた先のサーバーに脆弱性があれば、そこから攻撃を受ける | サーバー側のセキュリティ管理 |
| 設定ミス | VPN自体の設定が不適切だと暗号化が不完全になる | 設定の定期レビュー |
VPNを補完するセキュリティ対策
多要素認証(MFA) は、VPNを使っていても認証情報が漏洩した場合の不正ログインを防ぐ有効な手段です。VPN + MFAの組み合わせは、現在の企業セキュリティにおける基本構成の一つとされています。
だれリモVPNの安全性の根拠
「だれリモVPN」(ロリポップ!固定IPアクセスが提供) は、以下のセキュリティ仕様でビジネスでの安全な利用を実現しています。
AES-256/SHA-384による暗号化
通信の暗号化にはAES-256を、完全性検証にはSHA-384を採用しています。いずれも現在の標準的なセキュリティ基準において高い信頼性を持つ方式です。
二重VPN構成
2つのVPN中継点を経由する二重VPN構成を採用しており、単一のVPN構成に比べて高い通信保護を実現しています。
ノーログ運用
接続ログを保持しないノーログ運用を行っており、利用者のプライバシー保護に配慮した設計です。
社内ネットワークの外部非公開(アウトバウンド接続方式)
社内設置機器がクラウドに向けてアウトバウンド接続する方式のため、社内ネットワーク側のポートを外部に開放する必要がありません。外部からVPN機器に直接アクセスできる入口を作らない設計です。
よくある質問(FAQ)
Q1. AES-256は本当に安全ですか?いつか解読されませんか?
現在の計算技術では、AES-256の総当たり攻撃による解読は現実的に不可能とされています。ただし、量子コンピューターの実用化が進んだ場合に備えた「耐量子暗号」への移行研究も進んでいます。現時点では、AES-256は業務利用において十分な安全水準を満たしています。
Q2. VPNを使えば公共Wi-Fiでも安全に業務できますか?
VPNを使うことで通信内容を暗号化できるため、公共Wi-Fi上での傍受リスクは大幅に低下します。ただし、利用する端末自体のセキュリティ(OSの更新、ウイルス対策等)も合わせて確保することが前提です。
Q3. 「ノーログ」と言われても信用できるか不安です。どう確認すればよいですか?
信頼できる根拠として、(1)サービス提供者の公式プライバシーポリシーを確認する、(2)第三者機関による監査レポートが公開されているかを確認する、(3)国内事業者であれば法的な準拠法・管轄についても確認するといった方法があります。
Q4. 二重VPNは通信速度が遅くなりますか?
2つのサーバーを経由するため、単一VPNと比べると遅延が増える場合があります。ただし、その影響度は中継サーバーの性能・配置によって大きく異なります。業務用途では体感できる遅延が生じることもあるため、実際に試用して確認することをお勧めします。
Q5. IPsecとSSL-VPN、どちらが安全ですか?
両方とも現代では十分な暗号化強度を実現できます。セキュリティ面では、運用面での対応(パッチ適用、MFA設定など)の方が暗号方式の違い以上に影響が大きいといわれています。なお、主要ベンダーがSSL-VPNの廃止方針を示すなど、近年はIPsecやクラウド型VPNへの移行が推奨される傾向があります。
まとめ
- VPNが通信を安全にする仕組みは「暗号化」「トンネリング」「認証」の3要素の組み合わせ
- AES-256は現在の標準的なビジネス用途において高い信頼性を持つ暗号方式
- SHA-384はデータの完全性(改ざんがないこと)を確認するために使われる
- 二重VPNは通信を2つのVPN中継点で保護する構成で、単一VPNよりも高い安全性を提供する
- ノーログ運用は利用者の通信記録が第三者に漏洩するリスクを低減する
- VPNを使っても端末セキュリティや認証管理など補完策は必要。VPN単独で「完全安全」にはならない
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「だれリモVPN」 は専用機器「FLINT plus」を社内LANに挿すだけで使えるクラウド型リモートアクセスVPNです。AES-256/SHA-384での暗号化、二重VPN構成、ノーログ運用を採用し、社内ネットワークを外部に公開せずにリモートアクセスを実現します。
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