リモートアクセス環境を整えようとして、「固定IPアドレスが必要」という情報にぶつかり、取得の手続きや費用を調べ始めた方も多いのではないでしょうか。結論から言えば、用途によっては固定IPを取得しなくてもリモートアクセスを実現できます。本記事では、固定IPが必要なケースと不要なケースを整理したうえで、固定IPなしでリモートアクセスを構築する主な方法を、手順・比較・注意点とともに解説します。
固定IPアドレスとは何か、なぜリモートアクセスに話題になるのか
固定IPと動的IPの違い
インターネット回線に接続する機器には「IPアドレス」が割り当てられます。一般家庭や中小企業向けの回線の多くは動的IP(都度変わるIPアドレス)が割り当てられており、接続のたびにアドレスが変わる可能性があります。一方、オプション契約などで取得できる固定IPは、常に同じIPアドレスが割り当てられ続けます。
なぜリモートアクセスで話題になるのか
従来型のリモートアクセス構成(自社でVPNサーバーを立てる、ルーターにVPN機能を持たせるなど)では、外出先のPCから「社内の特定の機器」に接続するために、その機器のIPアドレスを指定する必要がありました。IPアドレスが変わってしまうと接続先が分からなくなるため、「固定IPが必要」という話が出てきます。
固定IPが必要なケースと不要なケースの整理
固定IPが必要(または強く推奨される)ケース
| ケース | 理由 |
|---|---|
| 自社にVPNサーバーを構築し外部からアクセスさせる | 接続先のIPアドレスを社員が入力するため、変わると接続できなくなる |
| 社外からルーターやNASに直接IPアドレスで接続する | 同上 |
| 他社システムのIPアクセス制限(ホワイトリスト)に自社のIPを登録する | IPアドレスが変わるたびに再登録が必要になる |
| Webサーバーやメールサーバーを自社で公開・運用している | DNS設定が固定IPを前提にしている場合が多い |
固定IPなしで実現できるケース
| ケース | 対応できる仕組み |
|---|---|
| 社員が外出先から社内ファイルサーバーやシステムにアクセスする | クラウド型VPN、DDNS |
| テレワーク環境の整備 | クラウド型VPN、クラウドサービス活用 |
| 出張先・在宅からの社内ネットワーク利用 | クラウド型VPN |
| 複数拠点からの社内システム利用 | クラウド型VPN、SD-WAN |
固定IPなしでリモートアクセスを実現する3つの主な方法
方法1:DDNS(ダイナミックDNS)を使う
DDNSとは、動的に変わるIPアドレスに対してドメイン名(ホスト名)を紐づけるサービスです。IPアドレスが変わっても、ドメイン名は変わらないため、接続先としてドメイン名を指定しておけばVPN接続を維持できます。
DDNS活用の仕組み
- DDNS提供サービスに登録し、ホスト名(例:
myoffice.example-ddns.net)を取得する - ルーターやPCにDDNSクライアントをインストールする
- IPアドレスが変わると、DDNSクライアントが自動的にドNSレコードを更新する
- 接続先に固定IPの代わりにこのホスト名を指定する
DDNSの注意点
- IPアドレス変更直後はDNS更新のタイムラグ(TTL)が発生し、一時的に接続できないことがある
- VPNサーバー機能を持つルーターや機器が必要
- 機器側でポートを外部に開放(ポートフォワーディング)する必要があり、セキュリティリスクを考慮しなければならない
- ルーターのVPN非対応機種では利用できない
方法2:クラウドサービスやリモートデスクトップツールを使う
TeamViewerやRDP(リモートデスクトップ)のクラウド中継サービスなどは、固定IPもポート開放も不要で社内PCを遠隔操作できます。接続先PCが常時起動していることが前提となります。
メリット・デメリット
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 固定IP不要 | ○ |
| ポート開放不要 | ○ |
| ネットワーク全体へのアクセス | △(操作対象PCのみ) |
| 社内ファイルサーバーへの直接アクセス | △(対象PC経由になる) |
| 複数ユーザーの同時利用 | △(ライセンス体系による) |
| コスト | ライセンス費用が発生するケースが多い |
方法3:クラウド型VPNを使う
クラウド型VPNは、VPNサーバーをクラウド側に置く(またはクラウドを中継点にする)方式です。社内設置の機器がクラウドサービスに対してアウトバウンド接続(内側から外への通信を起点)することで、外部公開(ポート開放)なしにリモートアクセストンネルを確立します。
固定IPが不要な理由:接続を開始するのは「社内設置の機器」であり、社内の機器がクラウドに対して接続しに行く形のため、社内のIPアドレスを外部から指定する必要がありません。
従来型VPNとクラウド型VPNの比較
| 項目 | 従来型VPN(社内VPNサーバー) | クラウド型VPN |
|---|---|---|
| 固定IP | 必要(または強く推奨) | 不要 |
| 既存ルーター設定変更 | 必要(ポート開放など) | 不要 |
| VPN対応ルーター | 必要(機種依存あり) | 不要 |
| 初期導入コスト | 機器・設定コストが発生 | 低い(月額モデルが多い) |
| 外部公開(ポート開放) | 必要 | 不要 |
| 管理・保守 | 自社で機器管理が必要 | クラウド側が担う |
| 対応端末 | サービスによる | サービスによる |
固定IPを取得する場合との比較:どちらが自社に向いているか
固定IPの取得を否定するわけではありません。前述のように、IPアクセス制限への登録や自社でサーバーを公開・運用している場合は、固定IPが有力な選択肢です。
一方で、「社員のリモートアクセス環境を整えたいだけ」という用途であれば、固定IPの取得には以下のような負担が伴います。
固定IP取得に伴うコスト・手続き
- 月額費用の増加:プロバイダーによって異なりますが、固定IPオプションには追加費用が発生します。複数のIPアドレスが必要な場合はさらに費用がかかります
- プロバイダー変更の手間:現在の回線が固定IPに対応していない場合、回線乗り換えや別途契約が必要になることがあります
- 申し込み・開通までのリードタイム:回線側の工事や設定変更に数日から数週間かかるケースがあります
- VPNサーバーの構築・管理:固定IPを取得しても、VPNサーバーを自社で構築・運用する人的コストは別途発生します
純粋にリモートアクセスのためだけに固定IPを取得するよりも、クラウド型VPNを利用した方がトータルのコストや手間が少ないケースは少なくありません。
クラウド型VPNを選ぶ際に確認すべきポイント
チェックリスト
- 既存ルーターの設定変更が不要か:ルーターの設定を変更するとネットワーク全体に影響する可能性があります。設定変更なしで導入できるかを確認しましょう
- ポート開放が不要か:外部からの通信を受け付けるポートを開放すると、攻撃の入口になるリスクがあります
- 通信の暗号化方式:業務データを扱う以上、暗号化の強度(AES-256等)を確認することが重要です
- ログの取り扱い:接続ログをどのように管理・保存しているか確認しましょう
- 対応端末・OS:利用者のPCやスマートフォンのOSに対応しているかを事前に確認します
- サポート体制:IT担当者が少ない中小企業では、日本語でのサポートが受けられるかも重要です
- 初期費用・試用期間:導入前にトライアルで動作確認できるかを確認しましょう
だれリモVPNを中間CTA:固定IP不要で最短2日導入
ここで、固定IPが不要なクラウド型VPNの一例として「だれリモVPN(ロリポップ!固定IPアクセスが提供)」をご紹介します。
専用機器「FLINT plus」を社内LANに挿すだけで、既存のルーター設定変更も固定IPの取得も不要でリモートアクセス環境が整います。社内側からVPNを張る方式(アウトバウンド接続)を採用しているため、社内ネットワークを外部公開(ポート開放)する必要がありません。初期費用0円・初月0円・契約期間なしのため、まずお試しから始めることができます。
手順:クラウド型VPNで固定IPなしのリモートアクセスを構築する流れ
一般的なクラウド型VPNの導入手順をまとめます(サービスにより異なります)。
- サービスへの申し込み:クラウド型VPNサービスに申し込み、アカウントを作成する
- 専用機器の受け取り・設置:機器が到着したら、社内LANのルーターのLANポートに接続する(設定変更不要)
- VPNクライアントのインストール:テレワーク端末(PC等)にVPNクライアントソフトをインストールする
- 接続テスト:社外のネットワーク(自宅Wi-Fiや携帯回線)から社内へのアクセスを確認する
- 利用開始:問題なければ運用開始。必要に応じてユーザーアカウント管理を行う
よくある質問(FAQ)
Q1. フレッツ光や格安SIMの回線でも固定IPなしでリモートアクセスできますか?
クラウド型VPNを利用する場合は、フレッツ光や格安SIM回線でも固定IPなしで利用できるケースがほとんどです。ただし、インターネット接続が安定していることが前提となります。利用するサービスの動作確認対象回線を事前にご確認ください。
Q2. DDNSとクラウド型VPNはどちらがおすすめですか?
DDNSはルーターにVPN機能があれば追加費用をかけずに利用できる反面、ルーター設定変更やポート開放が必要になります。クラウド型VPNはポート開放不要・設定変更不要で導入できる分、利便性とセキュリティの観点で優れているケースが多いです。IT管理者がいない、あるいは少ない中小企業にはクラウド型VPNが適していることが多いです。
Q3. 固定IPアドレスを契約済みですが、クラウド型VPNに切り替えるメリットはありますか?
既に固定IPを活用して自社サーバーを公開している場合など、固定IPが別用途で必要なケースは継続利用で問題ありません。一方で、「リモートアクセスだけのために固定IPを取得・維持している」のであれば、クラウド型VPNに切り替えることでコスト削減や管理負担の軽減が期待できます。
Q4. VPN非対応ルーターしかないのですが、リモートアクセスは難しいですか?
クラウド型VPNであれば、VPN非対応ルーターでも導入できるサービスがあります。専用機器をルーターのLANポートに追加するだけで動作するタイプのサービスを選べば、ルーター交換は不要です。
Q5. セキュリティ面で固定IPなしのリモートアクセスは問題ありませんか?
固定IPの有無はセキュリティ強度と直接の関係はありません。重要なのは通信の暗号化方式、認証方式(多要素認証等)、ポートの公開有無などです。クラウド型VPNでポート非公開・強い暗号化を採用しているサービスであれば、固定IPを取得して自社VPNサーバーを構築するよりも高いセキュリティを実現できることもあります。
まとめ
- 固定IPアドレスは「自社でVPNサーバーを外部公開する」「IPホワイトリストに登録する」といったケースでは必要になります
- 「社員のリモートアクセス環境整備」だけが目的であれば、DDNSやクラウド型VPNを活用することで固定IPなしでも実現できます
- クラウド型VPNはポート開放不要・既存ルーター設定変更不要で導入でき、固定IP取得の手間やコストを省くことができます
- サービス選定時は、暗号化方式・ポート開放有無・対応端末・サポート体制を確認することが重要です
だれリモVPNで固定IP不要のリモートアクセスを始める
ロリポップ!固定IPアクセスが提供する**「だれリモVPN」**は、専用機器「FLINT plus」を社内LANに挿すだけで使えるクラウド型リモートアクセスVPNです。
- 固定IPアドレス取得不要
- 既存ルーターの設定変更不要(VPN非対応ルーターでもOK)
- 社内ネットワークの外部公開(ポート開放)なし
- 通信はAES-256/SHA-384で暗号化、ノーログ運用
- 初期費用0円・初月0円・契約期間なしでお試し可能
- 最短2日で導入開始
詳細・最新料金は公式サイトでご確認ください。



