「IDaaSを導入したいが、Okta・Entra ID・HENNGE One・トラスト・ログインなど種類が多すぎて、どれが自社に合うのか分からない」――SaaSの利用が増え、ID管理とアクセス制御の必要性が高まる中で、こうした比較段階で立ち止まる企業は少なくありません。IDaaSは長く使う基盤だけに、選定を誤ると運用負荷やコストに長く影響します。
この記事では、主要IDaaSを「IP制限の柔軟性」「SSO対応数」「MFA」「料金」の4軸で比較し、自社に合うサービスの選び方を整理します。比較表を交えながら、各サービスの特徴と向いている企業像を解説します。
そしてもう一つ重要なのが、どのIDaaSを選んでも、IP制限を実効的に使うには「許可元となる信頼できるIPアドレス」が必要になるという点です。テレワークでこの許可元をそろえる手段として、固定IPアクセスがどのIDaaSでも共通して役立つことを最後に紹介します。なお、IDaaSの基礎についてはIDaaSとは?クラウドID管理による利便性の向上とセキュリティ強化を解説も併せてご覧ください。
IDaaS選定で見るべき4つの軸
IDaaSは多機能ですが、選定でまず押さえたいのは次の4軸です。
- IP制限の柔軟性:IPアドレス制限を、全体/アプリ単位/ポリシー条件でどこまで細かく設定できるか。テレワーク前提なら、許可IPでの分岐や条件付きアクセスの柔軟性が重要です。
- SSO対応数・連携性:自社が使うSaaSと連携できるか。対応サービス数や日本語フォーム対応の幅を確認します。
- MFA(多要素認証):対応する認証方式、リスクベース認証の有無、運用のしやすさ。
- 料金体系:無料プランの有無、ユーザー単価、機能のオプション構成、既存ライセンスとの兼ね合い。
これらを自社の規模・既存環境・求めるセキュリティレベルに照らして比較するのが基本です。
主要IDaaSの比較表
以下は主要IDaaSの特徴を4軸で整理したものです。料金は変動し、プラン構成も更新されるため、最新の正確な情報は必ず各社公式サイトでご確認ください。ここでは選定の方向性をつかむための概観として記載します。
| サービス | IP制限の柔軟性 | SSO対応・連携 | MFA | 料金の方向性 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|---|---|
| Okta | ポリシーで条件付きアクセスを細かく設定可能 | SSO対応サービス数が業界トップクラス(多数のクラウド連携) | 多彩な認証方式・適応型認証 | ユーザー単価は高めの傾向 | 多数のSaaSを使うグローバル・大企業 |
| Microsoft Entra ID | 条件付きアクセスでIP・場所・端末などを柔軟に制御 | M365・各種SaaSと統合 | Microsoft Authenticator等、適応型認証 | Business PremiumにP1が含まれる等、既存M365環境なら追加コストを抑えやすい | M365を全社利用している企業 |
| HENNGE One | IP制限・デバイス証明書・セキュアブラウザなど豊富 | アクセス制限・SSOの国内導入実績が豊富 | 多要素認証に対応 | 機能を束ねたパッケージ型 | 国内向けの手厚いサポート・実績を重視する企業 |
| GMOトラスト・ログイン | IPアドレス制限をオプションで追加可能(全体/アプリ毎) | 国内最多級の多数ログインフォームに対応 | 多要素認証に対応 | 無料プランあり・有料も低価格、オプションを1機能ずつ追加 | コストを抑えて始めたい中小企業 |
| OneLogin | ユーザー/アプリポリシーでIP条件・MFA分岐を柔軟に設定、SmartFactor対応 | 多数のSaaSと連携 | SmartFactor(リスクベース)対応 | ユーザー単価は中位の傾向 | 柔軟なポリシー設計をしたい海外製志向の企業 |
※上記は各社の一般的な特徴の整理であり、具体的な機能可否・対応範囲・料金は提供条件やプランによって異なります。最終判断は各社公式の最新情報に基づいてください。
軸ごとの比較ポイント
IP制限の柔軟性
IDaaSのIP制限は、大きく「全体への制限」と「アプリ単位の制限」、さらに「ポリシー条件での分岐(IPに応じてMFA必須化など)」に分かれます。
- シンプルに許可IPだけ絞りたいなら、全体/アプリ毎のIP制限があれば十分です(トラスト・ログイン等)。
- IPに応じて認証を変えたい(許可IPはMFA省略、それ以外は必須など)なら、条件付きアクセスやポリシー機能が充実したサービス(Entra ID、OneLogin、Okta等)が向きます。
いずれの場合も、許可リストに登録する「信頼できるIP」をどう用意するかが運用の前提になります。詳しくはIPアドレス制限とは? 仕組みとメリットをわかりやすく解説もご覧ください。
SSO対応数・連携性
自社が使っているSaaSが連携対象に含まれているかが最優先のチェックポイントです。海外製(Okta、OneLogin)はグローバルなSaaSに強く、国内製(トラスト・ログイン、HENNGE One)は国内サービスのログインフォーム対応が手厚い傾向があります。連携方式(SAML/フォーム認証など)によって使える機能が変わる点にも注意します。
MFA(多要素認証)
MFAはほぼ全サービスが対応していますが、差が出るのは「リスクベース認証(適応型認証)」の有無です。普段と異なる環境からのアクセスにのみ追加認証を求める仕組みは、利便性とセキュリティの両立に有効です。MFAの基礎は多要素認証(MFA)とは? 二段階認証との違いと導入すべき理由で解説しています。
料金体系
- 既存環境を活かす:M365を全社利用しているならEntra IDが追加コストを抑えやすい選択肢です。
- 低コストで始める:無料プランから始められ、オプションを段階的に追加できるトラスト・ログインは中小企業に向きます。
- 規模・機能重視:Okta・OneLogin・HENNGE Oneは機能が豊富な分、ユーザー単価やパッケージ費用を見込む必要があります。
ユーザー単価×人数だけでなく、必要なオプション(IP制限・MFA・ライフサイクル管理など)を含めた総額で比較しましょう。
どのIDaaSでも共通する「許可元IP」の課題
比較してきたとおり、IP制限の実装方法はサービスごとに差がありますが、共通する前提が一つあります。それは、「IP制限を有効にするには、許可する“信頼できるIP”を登録しなければならない」ということです。
ところがテレワーク・複数拠点では、この許可元IPが定まりません。
- 自宅回線の多くは動的IPで、再接続のたびに変わる可能性がある
- モバイル回線・公衆Wi-Fiは接続元IPが定まらない
- 拠点ごとにプロバイダが異なり、IPがバラバラ
接続元が変わるたびに許可リストを更新するのは非現実的で、広い範囲を許可すればIP制限が形骸化します。つまり、どのIDaaSを選んでも「許可元となる固定IPをどう用意するか」という課題は共通して残るのです。
ロリポップ!固定IPアクセスは、どのIDaaSとも組み合わせられる許可元
この共通課題を解決するのが、どこからでも同じ固定グローバルIPアドレスでアクセスできる「ロリポップ!固定IPアクセス」です。WireGuardを採用したVPNで、テレワークでも全員の接続元を1つの固定IPに統一できます。
仕組みとメリット
- 各従業員の端末を固定IPアクセスに接続する(接続中はお客様専有の固定IPを経由)
- 選んだIDaaSから見ると、全員の接続元が同じ固定IPになる
- その固定IPをIDaaSの許可IPに1件登録するだけで、チーム全体を制御できる
IDaaSの種類を問わず、許可元として登録するIPは1件で済みます。将来IDaaSを乗り換えても、固定IPアクセス側はそのまま使い続けられるため、特定サービスに縛られない汎用的な“信頼できる接続元”として機能します。
複数人・複数端末での運用
1つの固定IPに複数ライセンスを紐づけ、複数人・複数端末で同じ固定IPを共有できます(1ライセンスの同時接続は1台)。ライセンスは管理画面から1単位で増減できるため、人員の増減に柔軟に対応できます。
料金
| プラン | 料金(税込) | 概要 |
|---|---|---|
| ライトプラン | 月額539円〜(1ライセンス〜) | 小規模から始めたい場合 |
| スタンダードプラン | 1ライセンス税込495円、10ライセンス〜=月額税込4,950円〜 | チーム・複数拠点での利用 |
最大2ヶ月の無料お試し(1つ目の固定IP・上限10ライセンスまで)があります。
よくある質問(FAQ)
Q. 中小企業がコストを抑えて始めるならどのIDaaSが良いですか?
A. 無料プランから始められ、IP制限やMFAをオプションで段階的に追加できるGMOトラスト・ログインは、コスト重視の中小企業に向いた選択肢です。M365を全社利用している場合は、Business PremiumにEntra ID P1が含まれるため、追加コストを抑えやすい点も検討材料になります。最終的には自社が使うSaaSとの連携可否で判断しましょう。
Q. IP制限が柔軟なIDaaSを選べば固定IPは不要ですか?
A. いいえ。IP制限が柔軟なサービスほど「許可する信頼できるIP」を前提とします。テレワークでは接続元IPがバラバラになるため、許可元として固定IPを用意することがむしろ重要になります。
Q. 将来IDaaSを乗り換えたら固定IPアクセスも契約し直しですか?
A. いいえ。固定IPアクセスは特定のIDaaSに依存しません。乗り換え後の新しいIDaaSの許可IPに、同じ固定IPを登録すればそのまま使えます。
Q. 比較表の料金が知りたいのですが、正確な金額はどこで確認できますか?
A. IDaaSの料金・プラン構成は更新されることが多いため、正確な金額は必ず各社公式サイトでご確認ください。本記事の比較は選定の方向性をつかむための概観です。
まとめ
主要IDaaSは「IP制限の柔軟性」「SSO対応・連携」「MFA」「料金」の4軸で比較すると、自社に合うサービスが見えてきます。コスト重視ならトラスト・ログイン、M365環境ならEntra ID、グローバルな多数SaaS連携ならOkta・OneLogin、国内実績重視ならHENNGE Oneといった方向性が目安になります。
そして忘れてはならないのが、どのIDaaSを選んでもIP制限には「許可元となる信頼できるIP」が必要だという点です。テレワークでこの許可元をそろえる手段として、ロリポップ!固定IPアクセスはIDaaSの種類を問わず組み込めます。IDaaS選定とあわせて、固定IPによるアクセス制御の基盤づくりもご検討ください。
ロリポップ!固定IPアクセスでできること
- 最大2ヶ月の無料お試し:1つ目の固定IP・上限10ライセンスまで無料(お申し込みはこちら)。
- 申込当日から利用可・工事不要:WireGuard採用のVPNで、専門知識がなくても始められます。
- どのIDaaSとも組み合わせ可能:許可元として登録するIPは1件。乗り換えてもそのまま使えます。
- 複数人・複数端末で同じ固定IPを共有:ライセンスは管理画面から1単位で増減可能。
- 導入相談・資料請求:構成の相談は導入相談、資料は資料ダウンロードから。詳しい料金は料金ページをご覧ください。



